差分プライバシーはデータセットへの個人の参加情報を保護することを見据えた概念で、データサイエンスの需要が無視できない現代・未来社会において、プライバシー保護とデータ解析の精度を高いレベルで両立させられる可能性を備えている。しかし、その理論的基盤は未だ十分に精緻とは言えず、さらなる深化と基礎メカニズムの充実化が求められる。また、ゲノム統計解析を含むゲノム医科学への応用に向けた研究は特に手薄であり、これを推し進めることは個別化医療の発展とより安全・安心な医療の実現においても欠かせない。
これらの課題に対する研究成果として、まず差分プライバシーの基盤的メカニズムに関して、カテゴリカルデータ・数値データの収集のための基本手法の深化と、k-匿名性との融合について紹介する。また、信頼できるサーバ上でのクエリ対応のための手法として、smooth sensitivityの概念を軸とした研究展開についても触れる。その後、ゲノム統計解析への応用に向けたいくつかの成果と残されている課題を示す。以上を踏まえた現在の研究内容と今後の目標・方針についてまとめ、期待される貢献を議論したい。
基盤的な差分プライベートメカニズムの探究とゲノム統計解析への応用
学友会セミナー
開催情報
| 開催日時 | 2025 年 10月 2日(木)15:00 ~ 16:00 |
|---|---|
| 開催場所 | ZOOMによるオンライン開催 |
| 講師 | 山本 章人 |
| 所属・職名 | 東京大学医科学研究所・学振特別研究員 |
| 演題 | 基盤的な差分プライベートメカニズムの探究とゲノム統計解析への応用 |
| 世話人 | 〇主たる世話人:井元 清哉(健康医療インテリジェンス分野) 世話人:渋谷 哲朗(医療データ情報学分野) |
| 備考 | (ZOOM URL) https://u-tokyo-ac-jp.zoom.us/j/83839249365?pwd=pbgVeADVVDgJgrc1sp5KML8mJVa9QO.1 |
