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ゲノムDNAの安定維持機構に異常を示す遺伝性難病の原因究明と分子病態理解

学友会セミナー

開催情報

開催日時 2024年8月6日(火)16:00 ~ 17:00
開催場所 1号館講堂 
講師 荻 朋男
所属・職名 名古屋大学環境医学研究所 発生遺伝分野・教授
演題 ゲノムDNAの安定維持機構に異常を示す遺伝性難病の原因究明と分子病態理解
世話人
主たる世話人:
柴田 龍弘(ゲノム医科学分野)
中西 真(癌防御シグナル分野)
 
 
 
 
       
       
       
 
       
       
       

概要

生体内外の様々な要因により誘発されるDNA損傷は、複製と転写を阻害するため細胞毒性を示す。よって、遺伝情報を正確に伝達し適時適所の遺伝子発現を担保するためには、ゲノムDNAを安定に維持する「DNA修復損傷応答機構 (DNA epair and damage response system: DDR)」が必須である。我々の研究室では、AMED難病ゲノムプロジェクトをはじめとする希少疾患コンソーシアムに参画し、DDRの異常により発症する遺伝性疾患のオミックス解析による疾患原因究明と分子病態解明研究を進めている。 なかでも、転写領域に生じたDNA損傷を速やかに除去する機能を担う、転写共役DNA修復 (transcription-coupled repair: TCR)の異常は、コケイン症候群 (Cockayne syndrome: CS)やAMeD症候群 (aplastic anemia, mental retardation, dwarfism syndrome: AMeDS)などの希少疾患発症の原因となり、神経変性や早期老化、造血不全など、多様な全身性の病態となって現れるため興味深い。近年は、DNA-蛋白質架橋 (DNA protein crosslink: DPC)など、内在性アルデヒド類に由来するDNA損傷が転写領域に蓄積することで、老化の原因となり得ることに注目が集まっている。
本セミナーでは、国内外の難病ゲノムプロジェクトの状況や、我々の研究室で最近明らかにした新たなDNA修復機構の作動原理と新規疾患概念などについて、いくつかピックアップして紹介したい。