タンパク質のアセチル化修飾は代表的なエピジェネティクス調節機構の1つである。ブロモドメインは、アセチル化されたリジン残基の認識に重要な役割を演じる機能ドメインで、転写やクロマチンリモデリングなどの DNA 依存的な細胞プロセスに関与する。
我々はこれまでに大腸がんのトランスクリプトーム解析を通じて、がんの発生や進展に関与する遺伝子群を同定してきた。大腸がんで発現亢進を認めるMRG-binding protein (MRGBP)の機能解析によって、MRGBPがブロモドメインタンパク質BRD8と結合し、その安定化を引き起こすことが明らかとなった。これらの知見を踏まえ、MRGBP-BRD8の相互作用やBRD8のブロモドメインを標的とするがん治療薬開発の可能性について議論したい。また、我々の研究グループではヒトゲノム解析センターと共同で臨床シークエンスを行っている。本セミナーではその一例として、第三世代のナノポアシークエンサーを用いて遺伝性非ポリポーシス大腸がんの原因となる遺伝子の構造変異解析とその有用性について紹介する。
ブロモドメインタンパク質を標的とした大腸がんの新たな治療戦略
学友会セミナー
開催情報
開催日時 | 2023年4月6日(木)13:00~14:00 |
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開催場所 | ZoomによるWEB開催 https://u-tokyo-ac-jp.zoom.us/j/83084251894?pwd=b0t0RzRMVGJNdzVrV2xIYWlPQWYyZz09 パスコード: 403421 |
講師 | 山口 貴世志 |
所属・職名 | 臨床ゲノム腫瘍学分野・講師 |
国名 | JAPAN |
演題 | ブロモドメインタンパク質を標的とした大腸がんの新たな治療戦略 |
使用言語 | JAPAN |
世話人 | 主たる世話人:長村 文孝(先端医療開発推進分野) 世話人:古川 洋一(臨床ゲノム腫瘍学分野) |