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第4回遺伝子・細胞治療センター幹細胞治療研究センター合同セミナー (ハイブリッド開催)

その他のイベント

開催情報

開催日時 2022年9月26日(月)19:00-20:00(質疑応答含む)
開催場所 医科学研究所1号館講堂(ハイブリッド)
演者 田平 武
所属・職名 順天堂大学大学院医学研究科認知症診断・予防・治療学講座 客員教授
演題 「ウイルスベクターを用いたアルツハイマー病に対する能動免疫療法の開発」
世話人 岡田 尚巳(遺伝子・細胞治療センター 分子遺伝医学分野)

概要

本邦では高齢化社会の進展に伴い認知症は年々増加しており、アルツハイマー病(AD)は認知症の40-50%を占める最大の原因疾患である。ADではアミロイドβ蛋白(Aβ)、タウ蛋白が脳内に凝集することで認知症を発症すると考えられている。ADモデルマウスにおいてAβを免疫するとAβが除去され、新たな蓄積も減少することが1999年に報告され、Aβに対する免疫療法の可能性が示された。2000年に行われたヒトを対象としたAβとアジュバントによる能動免疫の治験は、自己免疫性の髄膜脳炎を認めたため中止となり、その後は主にAβに対する抗体療法(受動免疫)の開発が世界的に進められてきた。2021年に米国食品医薬品局はアデュカヌマブを条件付きで承認したが、抗体療法は非常に高価で静脈注射で投与されることから、予防投与に不向きであるという問題点がある。演者らは、アデノ随伴ウイルスベクターやセンダイウイルスベクターの経口投与・鼻腔投与によるAβの能動免疫が、髄膜脳炎を惹起せずにAβ沈着を減少させ、認知機能も改善させることを動物実験で見出してきた。能動免疫療法はより安価で効果の持続が長く、その開発が進めばアルツハイマー病だけでなくその他の神経変性疾患や感染症の予防への展開も期待される。本講演では、ウイルスベクターを用いたアルツハイマー病に対する能動免疫療法のこれまでの知見と、今後の展望について概説する。

※オンライン聴講希望者はkatoa[at]ims.u-tokyo.ac.jpまで
 当日連絡先:h-kodera[at]g.ecc.u-tokyo.ac.jp