急性骨髄性白血病(AML)は新規治療の導入が急務とされる難治性疾患の一つである。AMLは他の腫瘍同様、近年大規模なゲノムシーケンスによりドライバー変異が同定されたが、病態理解と新規治療の開発のためには患者由来生細胞を用いた薬剤感受性プロファイルの作成が重要である。今回我々は184例の患者由来細胞を用いたex vivo drug treatmentにより、3種類のエピジェネティック分子標的に対する複数の阻害剤への薬剤感受性プロファイルを作成した(動的プロファイル)。本プロファイルをドライバー変異プロファイル(静的プロファイル)と統合的に解析することで、NPM1のC末端フレームシフト変異(Mutant A)による遺伝子発現調節異常を新たに発見した。更に重要なことに、スクリーニングで得られた薬剤感受性プロファイルは、患者由来白血病細胞を用いた確認コホート(42例)において有意な再現性を示した。本研究成果は、患者由来細胞を用いた網羅的機能解析による大規模コホート研究が、生物学・治療学双方に役立つ情報を効率的に得るためのツールとして有用であることを示唆している。本セミナーでは研究デザインにおける検体数についての考察も併せて議論したい。
患者由来血液腫瘍細胞大規模コホートを用いた薬剤感受性プロファイルの有用性
学友会セミナー
開催情報
開催日時 | 2022年3月1日(火)18:00~19:00 |
---|---|
開催場所 | Zoom開催(https://u-tokyo-ac-jp.zoom.us/j/86354838454?pwd=WWxTaStiN3Q1TWpSbmtETTErYUNaUT09) |
講師 | 川畑 公人 |
所属・職名 | 東京大学医科学研究所臨床精密研究基盤社会連携研究部門・客員研究員 |
国名 | Japan |
演題 | 患者由来血液腫瘍細胞大規模コホートを用いた薬剤感受性プロファイルの有用性 |
世話人 | 主たる世話人:古川 洋一(臨床ゲノム腫瘍学分野) 世話人:高橋 聡(臨床精密研究基盤社会連携研究部門) |