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高齢者大腸癌の術前全身状態評価におけるCONUT scoreの有用性

学友会セミナー

開催情報

開催日時 2020年7月29日(水)18:00~
開催場所 ZoomによるWEB開催(聴講希望者は世話人:furukawa@ims.u-tokyo.ac.jpまで)
講師 阿彦 友佳 医師
所属・職名 国立がん研究センター中央病院 大腸外科 チーフレジデント
演題 高齢者大腸癌の術前全身状態評価におけるCONUT scoreの有用性
世話人 主たる世話人: 北村 俊雄(細胞療法分野)
世話人: 古川 洋一(臨床ゲノム分野)

概要

 高齢者大腸癌の治療戦略において、腫瘍学的因子だけでなく併存疾患や栄養状態などの全身状態の評価が、術後合併症の発生や長期予後の予測に重要である。大腸癌では、併存疾患の観点からCCI、ACE-27、NIA/NCIが全身状態の評価に用いられ、いずれも長期予後との関連が報告されている。近年、栄養状態の観点から全身状態を評価する指標としてControlling Nutritional Status (CONUT) scoreが注目され、大腸癌を含め様々な癌腫で長期予後との関連が報告された。一方で、これらの指標と術後合併症発生との関連については不明であり、また研究対象を高齢者に限定した研究は少ない。そこで阿彦氏らは、高齢者大腸癌患者830例を対象した解析を行い、CCI、ACE-27、NIA/NCI、CONUT scoreの中でCONUT scoreのみが術後合併症発生および長期予後と関連することを見出した (BMC Cancer 2019)。また大規模コホート(1880例)を対象とした解析でも、CONUT scoreが大腸癌の予後因子の一つであることを明らかにした。これらの結果は、CONUT scoreによる術前の全身状態評価が、高齢者大腸癌患者の術後管理や予後の予測に有用であることを示唆している。本セミナーでは、これらの研究成果に加え、大腸癌治癒切除後のサーベイランスのために、hazard functionという新たな解析方法を用いて、stage毎にその時点における再発リスクを推定した研究成果についてもご紹介いただく。