東アジアにおける新興・再興感染症の発生動向は、日本と中国の間で非常に類似している。私たちは、東京大学中国拠点を活用し、動物由来感染症を中心とした共同研究を進めてきた。
2011年に中国で重症熱性血小板減少症候群(SFTS)が初めて報告されると、翌2012年には日本でも患者が確認された1)。さらに、2021年には日本からYezoウイルス感染例が報告2)され、2023年には中国でも患者が確認された。2025年には日本でOzウイルス感染患者が報告3)され、2026年には韓国からも患者報告が続いた。また、2000年以降世界的に報告が途絶えていたBウイルス感染症についても、2019年に日本で患者4)が確認され、その2年後には中国で獣医師の死亡例が報告された。
これらの事例は、日本と東アジアにおける新興感染症の流行様式が極めて近いことを示している。多くの新興・再興感染症が動物由来であることから、中国拠点を活用した動物由来感染症の調査は、新興感染症のリスク分析において非常に有効である。
本講演では、私たちがこれまでに実施してきた疫学研究の成果を紹介し、東アジアにおける動物由来ウイルスの脅威とそのリスク評価の重要性について紹介したい。
1) Takahashi T et al. J Infect Dis 2014 Mar;209(6):816-827.
2) Kodama F et al., Nat Commun. 2021 Sep 20;12(1):5539.
3) Osawa S et al., N Engl J Med. 2025 Sep 4;393(9):924-926.
4) Yamada S et al., Emerg Infect Dis. 2024 Jan;30(1):177-179.
新興感染症のモニタリング:中国拠点利用
学友会セミナー
開催情報
| 開催日時 | 2026年8月21日 16:00-17:00 |
|---|---|
| 開催場所 | 1号館講堂 |
| 講師 | 前田 健 |
| 所属・職名 | 国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所 獣医科学部・部長 |
| 国名 | 日本 |
| 演題 | 新興感染症のモニタリング:中国拠点利用 |
| 世話人 | ◎川口 寧(ウイルス病態制御分野) 〇河岡 義裕(ウイルス感染部門) |
