アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、カプシド改変を通じて感染指向性を制御できることから、生命科学研究や遺伝子治療における強力な遺伝子送達ツールとして利用されている。しかし、マウスなどのモデル生物で最適化されたAAVカプシドの性質は、必ずしも他の生物種に外挿できない。この種差は、非モデル生物の特定臓器・細胞に対する遺伝学的操作を困難にするだけでなく、ヒトへの応用を見据えたAAVベクター設計においても大きな課題となっている。
我々は、生物種を越えて適用可能なカプシド工学の実現を目指し、タンパク質複合体予測を駆使したペプチドバインダー設計によって、AAVカプシドに標的膜タンパク質への結合性を付与する手法(EvoPRAISE)を開発した(Ono et al., iScience, 2026)。本セミナーでは、まず(1)タンパク質情報学がカプシド工学に寄与する可能性を俯瞰し、続いて(2)EvoPRAISEの原理と冬眠動物(シリアンハムスター)への応用例を紹介する。さらに発展的なテーマとして、(3)巨大タンパク質複合体と膜タンパク質との結合界面に見られる構造的・幾何学的特徴を、カプシドの合理的設計へ応用する方法についても説明する。本セミナーを通じて、膜タンパク質表面とその周囲の構造的文脈を手がかりに、カプシドとの結合界面を合理的に推定・設計する新たなカプシド工学の可能性について議論したい。
Context-aware peptide binder design for receptor-targeted AAV capsids
学友会セミナー
開催情報
| 開催日時 | 2026年8月7日 13:15-14:00(13:15-13:45 講義、13:45-14:00 質疑応答) |
|---|---|
| 開催場所 | 1号館 2-3会議室 & オンライン(ZOOM) |
| 講師 | 小野 宏晃 |
| 所属・職名 | 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構・研究員 Department of Physiology, Anatomy and Genetics, University of Oxford・研究員 |
| 国名 | 日本 |
| 演題 | Context-aware peptide binder design for receptor-targeted AAV capsids |
| 世話人 | ◎岡田 尚巳(遺伝子・細胞治療センター 分子遺伝医学分野・教授) 〇長村 登紀子(セルプロセッシング・輸血部・部長) |
| 備考 | 学友会セミナー8-11 (共催)遺伝子・細胞治療センター/幹細胞治療研究センター/一般財団法人医科学研究推進財団 (兼)第21回遺伝子・細胞治療センター・幹細胞治療研究センター合同セミナー (共催)一般財団法人医科学研究推進財団 【zoom情報】 https://u-tokyo-ac-jp.zoom.us/j/81473969043?pwd=NHZYv1FHhFBQ3C3SRnDM4rz6LUrQoy.1 ミーティングID: 814 7396 9043 パスコード: 523587 |
