NK細胞の腫瘍免疫監視機構における役割
学友会セミナー
2006年開催 学友会セミナー
開催日時: | 平成18年1月13日(金) 17:00~18:00 |
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開催場所: | 1号館2階会議室 |
講 師: | 早川芳弘 先生 |
所 属: | Cancer Immunology Program Peter MacCallum Cancer Centre |
演 題: | NK細胞の腫瘍免疫監視機構における役割 |
概 要: | ナチュラルキラー細胞(Natural Killer cell: NK cell)は自然免疫系に属するリンパ球で、初期の感染制御や腫瘍に対する生体防御機構において重要な役割を担っていることが唆されている。NK cellはT cellやB cellにおいて認められるgene rearrangementにより構成する抗原特異的なレセプターを発現しないが、イムノグロブリン様レセプターファミリーやC-type lectinレセプターファミリーに属する レセプター群を用いてpositive signalと negative signalのバランスを調節することでその反応性を制御している。近年の研究成果からそれらNK cellの認識機構に関わる重要なレセプター群、及びターゲット細胞上に発現するそのリガンド群について明らかにされてきており、NK cellはそれらの認識機構により活性化されサイトカインの産生、細胞傷害性顆粒の放出および細胞傷害性リガンドの発現などのエフェクター機能を介して腫瘍やウィルス感染細胞などの排除を行うことで宿主の免疫監視機構の一端を担っていることが明らかになってきた。さらにはNK cellは獲得免疫系に対しても初期の免疫応答におけるそれらエフェクター機能や、抗原提示細胞とのcross-talkを介して影響を及ぼしうることも徐々に明らかになってきた。 本セミナーではNK cellの腫瘍免疫監視機構 (tumor immune surveillance) におけるその役割を、特に重要な活性化レセプターであるNKG2Dを介した腫瘍の認識機構の免疫監視機構におけるその役割について、我々の最近の知見を中心に解説したい。さらにはNK cellのin vivoにおける多様性について、異なる自己反応性を有する新たなサブセットについての解説を中心にこれからの展望を議論したい。 |
世 話 人: | ○臓器細胞工学分野 田原 秀晃 分子療法分野 東條 有伸 |