NOD2の機能獲得変異によって肉芽腫を形成する自己炎症
学友会セミナー
学友会セミナー:2019年08月09日
開催日時: | 2019年08月09日 16:00 ~ 17:00 |
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開催場所: | 4号館3階 国際粘膜ワクチン開発研究センター セミナー室 |
講師: | 神戸 直智 |
所属: | 関西医科大学 皮膚科 准教授 |
演題: | NOD2の機能獲得変異によって肉芽腫を形成する自己炎症 |
概要: | 我々は,臨床での患者との出会いを契機として,細胞内パターン認識受容体であるNLRファミリー分子が関わる2つの自己炎症症候群の解析に従事している。1つはNLRP3の変異によって組織学的には好中球浸潤を伴う蕁麻疹様の皮疹を特徴とし,IL-1βの中和抗体が奏功するクリオピリン関連周期熱症候群(CAPS,指定難病106)であり,もう1つはNOD2の変異によって皮膚と関節,眼に肉芽腫をきたすブラウ症候群(指定難病110)である。常染色体優勢遺伝を示すブラウ症候群で同定されるNOD2変異は,CAPSでのNLRP3変異と同様にNOD領域に認められ, HEK293細胞に強制発現させNF-κBのレポーターアッセイを行うと機能獲得型変異であると考えらえる。さらに我々は患者からiPS細胞を樹立し,これを単球へと分化誘導して検討すると,NOD2はIFNγによって誘導され,このとき変異NOD2を発現した細胞のみMDPの添加なしに,NF-κBの転写亢進と炎症性サイトカインの産生が確認された。この現象は,患者から分離した末梢血をマクロファージへと分化誘導した細胞でも確認された。しかしながら,なぜNOD2の機能獲得型変異をもった細胞が,皮膚と関節,眼に肉芽腫を作るのか,そこにどのような機序が関わっているのかは不明である。 |
世話人: | 〇三宅 健介(感染遺伝学分野:教授)
石井 健 (ワクチン科学分野:教授) |