腸管炎症と小胞体ストレス ~ 小胞体DistressとEustress~
学友会セミナー
学友会セミナー:2019年06月10日
開催日時: | 2019年06月10日 14:00 ~ 15:00 |
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開催場所: | 4号館3階 セミナー室 |
講師: | 細見 周平 |
所属: | 大阪市立大学大学院医学研究科 消化器内科学・講師 |
演題: | 腸管炎症と小胞体ストレス ~ 小胞体DistressとEustress~ |
概要: | 変性タンパク質の小胞体への蓄積で生じる小胞体ストレス(ERストレス)は、種々の疾患の原因に関与することが知られ、炎症性腸疾患と総称される潰瘍性大腸炎やクローン病でも、腸管が過剰なERストレス状態にあることが報告されている。また、ERストレス応答の主要な転写因子であるX-box-binding protein 1 (XBP1) の機能低下型変異は炎症性腸疾患のリスク因子として同定されている。このことを裏付けるように、Xbp1遺伝子を腸管上皮細胞で特異的に欠損させたマウスでは、腸管は過剰なERストレス状態となり、その結果としてクローン病に類似した自然発症小腸炎が生じることも証明されている。このマウスの詳細な検討から、腸管上皮のERストレスがNKG2D ligandの一つであるMULT1を誘導し、NKG2Dを発現する腸管上皮間のgroup 1 innate lymphoid cells を介して炎症を惹起していることが明らかとなった(Distress)。その一方で、腸管上皮のERストレスは、腸管炎症に対して保護的な作用を有するIgAを、T細胞・炎症・腸内細菌非依存的に誘導していることも判明した(Eustress)。本演題では、これらに関連した研究成果を紹介する。 |
世話人: | 〇三宅 健介 (感染遺伝学分野)
植松 智 (自然免疫制御分野) |