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骨と免疫系の総括的な理解による骨疾患の病態解明

学友会セミナー

学友会セミナー:2019年05月22日

開催日時: 2019年05月22日 11:00 ~12:30
開催場所: 4号館3階 セミナー室
講師: 古賀 貴子
所属: 昭和大学歯学部 歯科薬理学 講師
演題: 骨と免疫系の総括的な理解による骨疾患の病態解明
概要:

骨組織は破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成を繰り返し、その恒常性を維持しています。破骨細胞と骨芽細胞は細胞間コミュニケーションを介して吸収と形成のバランスを適切に制御し、このバランスが破綻すると骨粗鬆症や骨破壊といった骨疾患を引き起こします。また、関節リウマチや歯周病では、過剰に活性化した免疫応答が骨破壊を引き起こすことも解明されています。そのため、近年、破骨・骨芽細胞だけでなく、免疫系細胞も含めたネットワークを総括的に理解する骨免疫学が発展し、炎症性骨破壊の病態理解と治療法開発の分子基盤構築が急速に進んでいます。一方で、骨粗鬆症は炎症性骨破壊のみならず、脳を含めた様々な臓器の疾患に付随することも知られており、逆に、骨粗鬆症は認知症などの脳疾患を発症・増悪させるとも言われています。骨粗鬆症や脳疾患は高齢者に多いことから、超高齢社会を迎えた我が国では、骨粗鬆症と脳疾患の悪循環を断ち切り、治療、さらには予防する方法の開発が望まれています。
本セミナーでは、骨免疫学が明らかにした破骨・骨芽細胞制御と骨疾患の病態理解を中心に、骨と脳・神経といったこれからの他臓器連関研究における展望についても最近の知見を交えてご紹介させていただきたいと思います。

世話人: 〇三宅 健介 (感染遺伝学分野)
 石井 健 (ワクチン科学分野)