B7-H3をターゲットとした膵癌に対するCAR-T療法の開発
学友会セミナー
学友会セミナー:2019年05月20日
開催日時: | 2019年05月20日 16:00 ~ 17:00 |
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開催場所: | 病院A棟 8階南会議室 |
講師: | 黒川 友博 |
所属: | ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院
外科 Research Fellow |
演題: | B7-H3をターゲットとした膵癌に対するCAR-T療法の開発 |
概要: | キメラ抗原受容体(CAR)は、主に腫瘍関連抗原(TA)に特異的に結合する一本鎖抗体,CD3ζ鎖およびT細胞共刺激分子の3者から構成される合成T細胞受容体のことである。B細胞上に発現する CD19に対するキメラ抗原受容体を発現させた遺伝子改変T細胞が再発・難治性のB細胞性腫瘍に対して有効であることが注目を集めている。一方で、固形がんに対しては十分な効果が得られていない。今回我々は、膵癌細胞と膵癌癌幹細胞の両方で発現し、正常組織ではほとんど発現が認められないB7‐H3をターゲットとして選択し、その特異的モノクローナル抗体からCAR-T細胞を作製した。このB7-H3 CAR-T細胞の効果を、膵癌細胞株を用いたin vitro共培養実験および免疫不全マウスを用いた同所移植モデルで評価したところ、ヒト膵管細胞株を特異的に認識し、効率的に除去し、さらにはマウス同所移植モデルにおいても高い抗腫瘍活性を示した。これらのことからB7‐H3 CAR-T細胞は、膵癌の免疫療法を実施するための有用なツールであることが示唆された。 |
世話人: | 〇北村 俊雄(細胞療法分野)
藤堂 具紀(先端がん治療分野) |