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動物における感染症に注目!

学友会セミナー

学友会セミナー:2019年02月22日

開催日時: 2019年02月22日 16:00 ~ 17:30
開催場所: 1号館 講堂
講師: 前田 健
所属: 山口大学共同獣医学部獣医微生物学教室・教授
演題: 動物における感染症に注目!
概要:

多くの新興人獣共通感染症は、動物からのSpilloverによって発生している。重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルスは野生動物での蔓延とその結果としてヒトやネコ・イヌ・チーターが犠牲になっている(節足動物-ヒト伝播)。更に、動物からのマダニを介さない獣医師・飼い主への感染が発生している(動物-ヒト伝播)。加えて、SFTSウイルスと同じ科の多くのウイルスを国内のマダニが保有していること、海外と渡り鳥を介する移動の可能性も判明してきた。
飼い主からの飼育フェレットへのヒトインフルエンザウイルス感染が発生している(ヒト-動物伝播)。飼い主は既にインフルエンザウイルスに感染しているので再感染することはないかもしれないが、病気になったフェレットが連れてこられる動物病院の獣医師などへの感染は起こっているのではないだろうか(動物-ヒト伝播)。
ヘルペスウイルスは宿主以外の動物に感染すると致死的な病気を引き起こす危険な病原体である。国内でもイノシシからアライグマへのオーエスキー病ウイルスの致死的感染、ヒツジ属の動物からウシ科の動物への悪性カタル熱ウイルスの致死的流行が起こっている(自然宿主-異宿主伝播)。ヒトの単純ヘルペスウイルスの研究者も、マウスを殺す能力があることを忘れてはいけない。
犬ジステンパーウイルスは撲滅された牛疫ウイルス、撲滅が進んでいる麻疹ウイルスと非常に近縁なウイルスである。犬ジステンパーウイルスは国内で多くの野生動物を殺しており、中国でも飼育サルを殺している。犬ジステンパーウイルスがヒトに感染する時代は来るのであろうか?
以上は我々の実施している研究の一部に過ぎない。動物における感染症の動態に目を向けることが重要である。

世話人: 〇川口 寧 (ウイルス病態制御分野・教授)
 河岡 義裕 (ウイルス感染分野・教授)