GTP代謝リプログラムによる癌の同化作用亢進のメカニズム
学友会セミナー
学友会セミナー:2018年09月20日
開催日時: | 2018年09月20日 16:00 ~ 17:00 |
---|---|
開催場所: | 2号館小講義室 |
講師: | 佐々木 敦朗 |
所属: | シンシナティ大学医学部 准教授 |
演題: | GTP代謝リプログラムによる癌の同化作用亢進のメカニズム |
概要: | GTPとATPはプリン骨格を持つ核酸として、DNAやRNAの構成ブロックとして組み込まれる。一方、エネルギー分子としても様々な細胞機能を駆動する。ピリミジン骨格をもつ核酸、UTP/TTP、CTPも同様の働きをもつ。これら4種の核酸は、それぞれ異なるカテゴリーの細胞同化反応に使われている。脂質合成はCTP、糖鎖合成はUTP、ATPはそれらを支える基盤ともいえる。我々のフォーカスするGTPは、細胞の主要成分であるタンパク質合成を駆動するエネルギー分子である。これまでGTPエネルギー状態はATP従属的で、その変動は受動的に細胞反応へ反映されると考えられてきた。果たして本当にそうなのだろうか。我々は、これまでの既成概念からは思いもかけないことが、細胞内で行われていると考えている。例えば、GTP量やグアニン核酸のエネルギーチャージは、ATPと独立的に各臓器や環境そして病態によってダイナミックに変化する。我々は、幾つかの癌種においてもGTPエネルギーの増大がATPと独立に起こることを見出した。最も予後の悪い癌の一つ、グリオブラストーマ(神経膠芽腫)のマウスモデル、およびヒト検体を用いた網羅的解析より、GTPエネルギー増大機構の分子メカニズムそして、予想を越えたダイナミックな役割が見えてきた。本発表では、最新のデータも合わせ紹介し、古くから知られているがんの特徴に、どのようにGTP代謝リプログラムが関与しているのか考察したい。 |
世話人: | 〇山梨 裕司 (腫瘍抑制分野)
中西 真 (癌防御シグナル分野) |