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ウイルスと人類:共生関係に基づく新しいウイルス学の展開

学友会セミナー

学友会セミナー:2008年06月25日

開催日時: 2008年06月25日 14:00~15:00
開催場所: 1号館2階会議室
講師: 余郷 嘉明
所属: 東京大学医学部附属病院泌尿器科
演題: ウイルスと人類:共生関係に基づく新しいウイルス学の展開
概要:

歴史的に見るとウイルスは病原体として発見されてきた。しかしウイルスは一種の寄生体であり、宿主に感染してこそ存続できる。したがって、ウイルスが病原性を発揮し、宿主を絶滅してしまったら、そのウイルスも絶える。したがって、病原性を発揮することはウイルスにとって得策ではない。逆に、宿主との共生体であれば、ウイルスが自然界に存続するのに大変具合がよいことは言うまでもない。私たちは、ヒトに感染するポリオーマウイルス(BKウイルスやJCウイルス)をヒトとの共生体として把握することによって、新しいウイルス学を展開してきた。「共生ウイルス学」と言うべきこの新しいウイルス学は、ウイルスを病原体と理解する従来のウイルス学とは対比される。「共生ウイルス学」は3つの分野-(1)共生ウイルスの基本的な性質の解明、(2)共生ウイルスの病原性発現機構の解明、(3)共生ウイルスを指標としたヒト集団の移動と起源の解明-からなる。私たちがこの5年間に、これら3分野で行ったBKウイルスに関する研究を紹介する。このような、ウイルスとヒトとの関連性に関する総合的な研究は、ウイルス学研究者のみならず、他分野の研究者にも十分興味をもっていただけると思う。

世話人: ○河岡義裕、三宅健介