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長崎大学病院における高齢者成人T細胞白血病・リンパ腫 (ATL) の治療成績

学友会セミナー

学友会セミナー:2017年03月29日

開催日時: 2017年03月29日 14:00~15:00
開催場所: 総合研究棟4階共用会議室
講師: 牧山 純也
所属: 国立病院機構長崎医療センター血液内科/外来化学療法センター
副センター長
演題: 長崎大学病院における高齢者成人T細胞白血病・リンパ腫 (ATL) の治療成績
概要:

成人T 細胞白血病・リンパ腫 (ATL) は、HTLV-1感染者の一部に発症する末梢性T細胞性腫瘍である。全国調査での患者年齢中央値は67歳で、その高齢化が指摘されている。化学療法の対象であるAggressive ATL(急性型、リンパ腫型、予後不良因子を有する慢性型)に対して、VCAP-AMP-VECP療法は標準的な治療法の一つと考えられているが、高齢者での有用性は検証されていない。今回、1994年から2010年に長崎大学病院で初回治療が実施されたaggressive ATL患者(同種造血幹細胞移植施行例を除く)148例の治療成績を後方視的に検討した。70歳以上の高齢者は54例で、生存期間中央値(MST)10.6ヶ月、2年生存率22.1%であった。若年者群94例のMSTは11.7ヶ月、2年生存率は26.4%であった。高齢者群の34例でVCAP-AMP-VECP療法が行われ、うち31例は初回から投与量が減量されていた。34例全体のMSTは13.4ヶ月、2年生存率は26.4%であり、若年者に遜色のない成績であった。抗CCR4抗体であるモガムリズマブの至適使用方法の検討は今後の重要な課題であるが、高齢者aggressive ATLを対象とした前向き比較試験の実施は困難が予想される。本研究は今後の治療法の開発に際して重要な基礎的データとなることが期待される。

世話人: ○四柳 宏 (感染症分野)
 東條 有伸 (分子療法分野)