English
Top

HIV-1残存感染細胞の活性を測ることの意義

学友会セミナー

学友会セミナー:2017年01月24日

開催日時: 2017年01月24日 14:00 ~ 15:00
開催場所: 総合研究棟 4階会議室
講師: 水谷 壮利
所属: 公益財団法人 微生物化学研究 会 微生物化学研究所 博士研究員
演題: HIV-1残存感染細胞の活性を測ることの意義
概要:

抗HIV療法の効果により血漿中のHIV RNA量が検出限界未満に抑えられている患者においても、体内では種々のリンパ組織を中心に感染細胞が残存し、低レベルでのウイルス複製が繰り返されている。
我々は、末梢血中の感染細胞では伸長が中途停止したウイルス由来の60-70塩基の短鎖RNA (short transcript, ST) が高頻度に産生されるという知見に着目し、STを指標として末梢血単核球(PBMC)から効率的に感染細胞の活性を評価する系の構築を行った。これまでの解析から、治療により血漿中のHIV RNA量が良好に抑制された状況下であっても、STが高レベルで検出される患者では免疫力の指標であるCD4数の回復が悪く慢性的なT細胞の活性化状態が続いていることを明らかにした。
本セミナーでは、血中ウイルス量の制御とT細胞の活性化状態の沈静化は必ずしも同義ではないことを示すと共に、体内に残存する感染細胞の転写活性を測定することが患者の予後を判断するバイオマーカーになりうる可能性を議論する。

世話人: ○三宅 健介 (感染遺伝学分野)
 清野 宏   (炎症免疫学分野)