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ヒストン脱メチル化酵素LSD1による環境応答と代謝制御

学友会セミナー

学友会セミナー:2017年01月16日

開催日時: 2017年01月16日 18:00 ~ 19:00
開催場所: 2号館2階 小講義室
講師: 日野 信次朗
所属: 熊本大学発生医学研究所 細胞医学分野・助教
演題: ヒストン脱メチル化酵素LSD1による環境応答と代謝制御
概要:

栄養や酸素供給等の環境に応じた代謝表現型の構築は、生物の長期的生存戦略や体質形成において重要であるだけでなく、様々な疾患リスクとも密接に関わっている。このようなエネルギー代謝転換には、環境応答性エピゲノム変換を介した細胞記憶の形成が必須であると考えられるが、その仕組みはほとんどわかっていない。
ヒストン脱メチル化酵素であるLSD1は、メチル化されたヒストンH3リジン4(H3K4)を脱メチル化する酵素であり、転写抑制や抑制型クロマチン形成に寄与する。我々はこれまでに、LSD1がさまざまな環境に応じたエネルギー代謝転換において必須の役割を果たすことを明らかにしてきた。また、LSD1はFAD(フラビンアミンジヌクレオチド)依存性酵素であり、リボフラビン代謝による細胞内FAD合成が、LSD1による代謝遺伝子発現の調節に必須であることを明らかにしている。
最近、LSD1がグルココルチコイドやインスリンなどの代謝ホルモンと連携して筋分化過程における代謝転換を誘導することを見いだした。本セミナーでは、LSD1の分子機能について紹介しつつ、生物の環境適応を支えるエピゲノム形成機構とその意義について議論したい。

世話人: ○田中 廣壽 (免疫病治療学分野)
 武川 睦寛 (分子シグナル制御分野)