C型肝炎ウイルスによる肝発癌機構の解明
学友会セミナー
学友会セミナー:2016年12月13日
開催日時: | 2016年12月13日 16:00~17:00 |
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開催場所: | 総合研究棟4階 共用会議室 |
講師: | 堤 武也 |
所属: | 東京大学大学院医学系研究科(感染症内科)・助教 |
演題: | C型肝炎ウイルスによる肝発癌機構の解明 |
概要: | C型肝炎ウイルス(HCV)感染は慢性肝炎、肝硬変に進展し、高率に肝発癌を引き起こす。HCVの研究はここ10年で飛躍的に進歩し、HCVをターゲットとした治療薬(DAA製剤)が開発され、臨床的に顕著な効果が認められている。一方で、HCV感染に伴う肝発癌の機序は未だはっきりとは解明されておらず、臨床的にはウイルス排除後の発癌も見られ、問題となっている。我々のグループはHCVのコア蛋白を発現するトランスジェニックマウスを作製し、肝脂肪化を経て肝発癌が認められることを以前に報告した。発癌の機序を解明するため、このマウスの肝臓を遺伝子解析し、発現変化した遺伝子を同定、その変化の機序と発癌への寄与について検討を行い、TNF-やIL-1といったサイトカイン発現の増加とその下流のシグナル伝達の増強、ならびに細胞増殖や脂質代謝に関与する転写因子であるRXR-とコア蛋白との結合とその影響を見いだした。また、このマウスの肝細胞内のミトコンドリアに形態学的異常が認められること、ならびに肝臓内の酸化ストレスが増強していることに着目し、ミトコンドリアのプロテオーム解析を行い、発現が変化した蛋白を同定し、コア蛋白との関わりとその影響を解明した。また最近では、この異常ミトコンドリア蓄積に着目し、コア蛋白によるマイトファジー抑制機構について検討を行っている。本セミナーでは私たちの研究を今後の展望も含めて紹介したい。 |
世話人: | ○東條 有伸(分子療法分野)
四柳 宏 (感染症分野) |