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リウマチ膠原病における難治性病態の解明と治療法開発

学友会セミナー

学友会セミナー:2016年12月13日

開催日時: 2016年12月13日 17:45~18:45
開催場所: 2号館2階 大講義室
講師: 吉川 賢忠
所属: 附属病院アレルギー免疫科・病院講師
演題: リウマチ膠原病における難治性病態の解明と治療法開発
概要:

関節リウマチをはじめとしたリウマチ膠原病の診療において、生物学的製剤の導入などによってパラダイムシフトが訪れた。従来、関節リウマチに関しては疾患修飾性抗リウマチ薬(免疫調節薬)やステロイドを用いても治療成績は満足できるものではなく、治療薬による副作用も問題であった。しかし、最近では治療体系も大きく変化し生物学的製剤が比較的早期から積極的に導入され、治療成績が大幅に改善している。当アレルギー免疫科においても、新規関節リウマチ患者の寛解導入率は80%を超えている。しかし、その一方で、いまだに有効な治療法が存在しない難治性病態も存在することも事実である。わたしどもは、その中でも、肺高血圧症、ステロイド誘発性骨格筋萎縮(ステロイドミオパチー)に焦点をあてて研究を行ってきた。肺高血圧は混合性結合組織病、全身性硬化症に一定頻度で合併する予後不良の病態である。私どもは心筋肥大抑制作用を有するRNA結合タンパクHEXIM1の研究から、心臓の病的リモデリングを新たな治療標的とした戦略を提案するに至っている。ステロイドミオパチーはステロイド大量投与患者に高頻度に発生する副作用であり、私どもは世界に先駆けてその病態を詳細に解明したとともに、ステロイド服用中のリウマチ膠原病患者を対象として分岐鎖アミノ酸経口投与の有効性を検証する医師主導型臨床試験に展開した。かかる治療法の有効性が示唆されたものの、同時に、いくつかの問題点も確認された。本セミナーでは、肺高血圧症、ステロイドミオパチーに対する私どものこれまでの基礎的研究を概括して先の臨床試験の結果を報告するとともに、これからの展望に関して議論したい。

世話人: ○小澤 敬也(病院長)
 田中 廣壽(抗体・ワクチンセンター長)