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エンベロープウイルスの膜融合を標的とした阻害剤の探索

学友会セミナー

学友会セミナー:2016年09月08日

開催日時: 2016年09月08日 10:00 ~ 11:00
開催場所: 2号館 小講義室
講師: 山本 瑞生
所属: 東京大学医科学研究所 アジア感染症研究拠点・
特任研究員
演題: エンベロープウイルスの膜融合を標的とした阻害剤の探索

概要:

近年HIV治療においてウイルスの膜融合や逆転写、プロテアーゼによる成熟などの各ステップを多剤併用によって阻害するHAART療法がAIDS発症抑制に一定の成果を収めているが、副作用や耐性ウイルスの出現の問題から新規治療薬の開発が求められている。一方でMERSコロナウイルスやデングウイルスといった新興感染症の原因ウイルスの感染に対しては現在までに有効な治療法が存在しない。我々はこれらのエンベロープウイルスによる感染の最初のステップである膜融合に注目し、分割レポータータンパクの再構成を指標として、多数の化合物の抑制活性を測定可能なハイスループット細胞融合アッセイを樹立した。本セミナーではこのエンベロープタンパク依存的な細胞融合アッセイの特徴である高い安定性や、ウイルスを用いずにBSL1施設で実施可能な安全性および汎用性について議論したい。また最近我々がこのアッセイを用いて既存薬の中から発見したMERSコロナウイルスの感染を強力に抑制する阻害剤について併せて紹介したい。

世話人: ○山梨 裕司   (腫瘍抑制分野)
 井上 純一郎 (分子発癌分野)