アカデミアにおけるウイルス製剤GMP製造施設の役割
学友会セミナー
学友会セミナー:2016年5月2日
開催日時: | 2016年5月2日 18:30 ~ 19:30 |
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開催場所: | 2号館2階小会議室 |
講師: | 稲生 靖 |
所属: | 東京大学医科学研究所 先端医療研究センター 先端がん治療分野
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演題: | アカデミアにおけるウイルス製剤GMP製造施設の役割 |
概要: | がんや難病に対する新たな治療法として、近年、遺伝子治療やウイルス療法への期待が高まっている。科学的なエビデンスに基づく治療法開発のためには、質の高い臨床試験の実施が要求されるが、試験実施計画やデータマネージメントとともに試験薬の品質の確保が重要課題である。治験薬の充足すべき基準(Good Manufacturing Practice: GMP)として、平成9年に旧治験薬GMPが、次いで平成20年に改正治験薬GMPが制定され、治験薬製造施設の備えるべき基準が明らかにされた。しかし、GMP製造を行うためには、これらに記載された構造設備面に加え、施設運用および製造の手順書制定と、運用および製造記録の整備が必須である。遺伝子治療用ウイルス製剤の製造においては、製造工程開発の段階からGMP対応を視野に置くことが重要で、研究者との密な連携が可能でカスタマイズが容易なアカデミアの製造施設の果たすべき役割は大きい。医科学研究所治療ベクター開発センターは、GMP製造施設としての10年以上の経験と医師主導治験用のウイルス製剤製造の実績があり、学内シーズの臨床開発を支えてきた。施設のGMP運用は、特にアカデミアにおいては高額な維持費と日常管理の労力が重荷ともされるが、今後その役割とニーズは増大が予想される。本セミナーでは、アカデミアのウイルス製剤製造施設でどこまで可能か、何が課題かを紹介する。 |
世話人: | ○藤堂 具紀(先端がん治療分野・教授)
小澤 敬也(病院長、遺伝子治療開発分野・教授) |