English
Top

骨格筋グルココルチコイドレセプターによるエネルギー代謝制御

学友会セミナー

学友会セミナー:2016年01月07日

開催日時: 2016年01月07日 17:00~18:00
開催場所: 1号館2階  セミナー室
講師: 清水宣明
所属: 附属病院アレルギー免疫科・特任研究員
演題: 骨格筋グルココルチコイドレセプターによるエネルギー代謝制御
概要:

グルココルチコイド(GC)製剤の長期大量投与は、骨格筋量と筋力の減少(ステロイド筋症)を引きおこす。ガン、糖尿病、敗血症、廃用、飢餓、加齢などによる様々な筋萎縮病態への内因性GC の関わりが指摘されているが、これらの発症機序において骨格筋GC レセプター(GR)が果たしている役割は明確でない。一方、内因性GC は、中枢神経系の制御下に副腎皮質から分泌される生命維持に必須のホルモンであるが、骨格筋における作用の生理的意義の詳細、とくに筋萎縮メカニズムとの関係については不明であった。本発表では、私どもがGC 標的組織として骨格筋に着目し、筋萎縮発症の背景となる分子機構とその生理的意義の解明に取り組んだ結果について紹介させて頂く。
動物モデルにて、①GR 依存的遺伝子発現と、インスリンやアミノ酸などの栄養シグナルとのクロストークが、タンパク質アミノ酸代謝(異化・同化)を介した筋量制御に中心的役割を果たしていること、②かかる制御は、血中アラニン濃度の調節を介して、肝臓、肪組織の遺伝子発現とエネルギー代謝の変化に波及し、個体におけるエネルギー貯蔵物質(糖、タンパク質、脂質)の消費バランスを調節する生理機構の一翼を担っていること、を明らかにした。以上の成果は、筋力低下のみならずエネルギーフロー異常を伴うさまざまな疾患・状態(筋萎縮、サルコペニア、糖尿病、肥満など)の分子機構理解に基づく対策の開発に貢献すると考えられる。

世話人: ○小澤 敬也 (附属病院長 教授)
 田中 廣壽 (抗体・ワクチンセンター 免疫病治療学分野 教授)