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逐次近似画像再構成法を用いた被曝低減や画質向上についての研究

学友会セミナー

学友会セミナー:2015年12月28日

開催日時: 2015年12月28日 15:00~16:00
開催場所: 病院棟 8階南会議室
講師: 八坂 耕一郎
所属: 東京大学医学部附属病院放射線科
演題: 逐次近似画像再構成法を用いた被曝低減や画質向上についての研究
概要:

CTの画像を再構成する方法として、従来はフィルター補正逆投影法が用いられてきた。近年になって利用可能となった逐次近似画像再構成法を用いると、画質の向上や被曝の低減が可能になる。逐次近似画像再構成法の一つであるモデルベース逐次近似画像再構成法の臨床応用が可能となり知見が得られてきた。医療被曝におけるCTの割合、特に腹骨盤部CTの割合は大きく、集団被曝を考える上では、特に腹骨盤部CTが大きな位置を占めている。通常用いられる線量の1/10、腹部単純写真と同等の実効線量レベルにおける腹骨盤部単純CTにおいて、モデルベース逐次近似画像再構成法を用いた場合に従来の撮影法と遜色のない画質や診断能が得られた。肺結節の性状を評価するために高分解能CT画像を追加で再構成することがあるが、従来の画像再構成法では高い空間分解能とひきかえに、ノイズが著明に目立った画像となっていた。モデルベース逐次近似画像再構成法を用いることで、高い空間分解能とノイズ低減の両立が可能となった。また、一般に体幹部のCT撮影においては、両腕からのストリークアーチファクトを避けるために両上肢を挙上した状態で撮影するのが一般的である。しかし、世界的な高齢化が進む中、撮影時に上肢を挙上できない患者の増加が予測されている。上肢を下垂した場合における腹部CTの画質が、逐次近似画像再構成法を用いることで改善することが明らかになった。本セミナーでは、モデルベース逐次近似画像再構成法の臨床応用についてこれまでの研究成果について報告する。

世話人:  ○ 小澤 敬也
    桐生 茂 (放射線科)