English
Top

MLLキメラはいかにして白血病を引き起こすか。

学友会セミナー

学友会セミナー:2015年08月06日

開催日時: 2015年08月06日 16:00-17:00
開催場所: 東京大学医科学研究所 1号館 2階 セミナー室
講師: 横山 明彦
所属: 京都大学大学院医学研究科 メディカルイノベーションセンター
悪性制御研究ラボ(DSKプロジェクト)・特定准教授
演題: MLLキメラはいかにして白血病を引き起こすか。
概要:

MLL遺伝子の変異を持つ白血病は急性白血病の7%程を占め、予後が悪い。MLLは転写制御因子であり、HOX遺伝子などの細胞記憶を司る遺伝子の発現を維持する働きを持つ。染色体転座によってMLL部分とパートナー部分が融合したMLLキメラ遺伝子を生じ、その結果発現するMLLキメラ蛋白質は、恒常的に標的遺伝子の転写を活性化する事で白血病を引き起こす。MLL白血病は二次的な遺伝子変異が非常に少ないがんであり、従ってMLLキメラ蛋白質は非常に強力な発がん因子であるといえる。しかし、なぜこの発がん因子が単独で予後の悪い白血病を引き起こすことができるのかはよくわかっていない。MLLはAF4やENLなどの転写関連因子とキメラを形成することが多い。我々はこれらのMLLキメラが恒常的に転写を活性化する分子メカニズムを明らかにすべく、融合パートナー部分の転写活性化機能を解析した。その結果、MLLキメラは新規のAF4結合因子を介して転写を活性化し、造血細胞を不死化していることが明らかになった。本セミナーではMLLキメラが白血病を引き起こす仕組みについて最新の知見を含めて紹介する。

世話人: ○北村 俊雄(細胞療法分野・教授)
 山梨 裕司(腫瘍抑制分野・教授)