肝臓がんにおける突然変異シグネチャーの解析
学友会セミナー
学友会セミナー:2015年07月13日
開催日時: | 2015年07月13日 17:00-18:00 |
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開催場所: | 東京大学医科学研究所 1号館 講堂 |
講師: | 柴田 龍弘 |
所属: | 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター ゲノム医科学分野・教授
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演題: | 肝臓がんにおける突然変異シグネチャーの解析
Analysis of mutational signatures in liver cancer |
概要: | 日本人413例並びに米国人195例(合計608例)の肝臓がんについて、次世代シークエンサーを用いた全エクソン解読を行い、東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターのスーパコンピューターを用いて、発がん要因や民族間における突然変異(塩基置換)シグネチャーの相違点について解析を行った。体細胞塩基置換変異パターンは肝炎ウイルスの種類(B型肝炎、C型肝炎、非ウイルス性)とは関連しなかったが、一方で、人種背景(日本人、中国人、ヨーロッパ人種)とは強い相関を示すことが分かった。Non-negative Matrix Factorization解析によって3種類の特徴的な突然変異シグネチャー(signature A, B, C)を抽出することができ、それを人種別グループに分けて解析を行ったところ、signature Aは日本人男性の肝細胞がんに特徴的であることが判明した。突然変異シグネチャーは、外的(喫煙や紫外線)あるいは内的(DNA修復系異常等)発がん要因と密接に関連することが知られており、この結果は日本人に特徴的であり、かつ肝炎ウイルス感染ではない未知の発がん要因が存在していることを示唆する。 |
世話人: | ○村上 善則(人癌病因遺伝子分野・教授)
井元 清哉(ヘルスインテリジェンスセンター・教授) |