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宿主遺伝子の多様性が可能にするエボラ出血熱の病原性と抵抗性

学友会セミナー

学友会セミナー:2015年05月29日

開催日時: 2015年05月29日 14:00-15:00
開催場所: 東京大学医科学研究所 1号館 2階 会議室A(旧病院長室)
講師: 奥村 敦
所属: University of Washington School of Medicine Department of Microbiology/ Research Scientist
演題: 宿主遺伝子の多様性が可能にするエボラ出血熱の病原性と抵抗性
概要:

エボラウイルスの研究において既存のマウスの感染モデルは、出血、凝固不全や播種性血管内凝固症候群など、ヒトで認められるような症状は示さず、人間以外の動物でこれらの症状を呈するのは、霊長類とハムスターなどの一部の実験動物に限られる。
今回我々は、遺伝的に多様性な背景を持つ、collaborative cross マウスにエボラウイルス-マウス適応株を感染させることにより、異なった病気の表現型を呈することを示した。
感染後の症状の表現型は、全く症状を出さない完全な抵抗型から凝固不全を呈し100%の死亡率を示すものまで多様の症状を示し、また、これらのマウスを用いた宿主因子の解析を行ったところ、炎症性シグナルの活性は、血管内皮細胞の活性や血管の透過性と関係しており、致死感染症に対する抵抗性であること、対立遺伝子Tekが感受性に関与いていることを示した。これらのことは、宿主の遺伝子の多様性がエボラ出血熱の罹病性に関与していることを示している。
本セミナーでは、マウス宿主遺伝子の多様性によるエボラウイルス感染に対する感受性の違いを、バイオインフォマティクスを用いて解析した結果を示しながら、エボラ出血熱の症状の原因遺伝子について議論したい。

世話人: ○野田 岳志(感染症国際研究センター・准教授)
 河岡 義裕(ウイルス感染分野・教授)