膠原病における血流障害と血流障害を介する重要臓器障害―肺動脈性肺高血圧症―
学友会セミナー
学友会セミナー:2015年01月19日
開催日時: | 2015年01月19日 18:00~19:00 |
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開催場所: | 2号館2階小講義室 |
講師: | 猪熊 茂子 |
所属: | 日本赤十字社医療センター アレルギーリウマチ科・リウマチセンター長
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演題: | 膠原病における血流障害と血流障害を介する重要臓器障害―肺動脈性肺高血圧症― |
概要: | 膠原病は多臓器の侵襲を特徴とする。実質臓器と支持臓器とでは、後者が疾病横断的に障害される傾向にある。分けても血管侵襲は、頻度が高く時に難治である。古典的膠原病ではRaynaud徴候や手指尖端壊死が見られ、これは未だに機序も治療法も十分には解明、確立はされていない。膠原病自体による重篤病態には、肺動脈性肺高血圧症がある。発表者等は以前より、肺動脈を侵襲して肺高血圧症を生じせしめる病態とその患者の四肢末梢血流障害が共通するものであることを疑ってきた。四肢末梢血流障害は、温度負荷による指温変化のパターンで評価できると想定して千件以上のサーモグラフィー検査を施行してきた。結果、手指抹消血流障害例では、1)室温(温度負荷前)で低温、2)冷温負荷後回復遅延、3)指毎の温度に明らかな差(ばらけ)、等が認められることを観察した。しかし最も著しい異常型としては、負荷前から観察時間内で著しい低温が持続し、むしろ3)のばらけが消失している型であって、手指抹消血管にリモデリングが生じていると想定した。なお、肺高血圧症例では、この低温持続型が多い。肺動脈性肺高血圧症の薬物治療には、a)PGI2、b)ETR拮抗、c)PDE5がある。発表者等は早くより手指末梢血流障害に対するPGI2療法に注目し、長期投薬で四肢末梢温の改善を見、その後PAH改善も見てきた。また、CO2を含む温泉は古くより特に血流障害の治療効果が言われてきたが、それを裏付ける所見をサーモグラフィー検査で得ている。 |
世話人: | ○田中廣壽(アレルギー免疫科・教授)
東條 有伸(血液腫瘍内科・教授) |