赤痢菌感染におけるinflammasome活性化
学友会セミナー
学友会セミナー:2015年01月08日
開催日時: | 2015年01月08日 17:00-18:00 |
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開催場所: | 東京大学医科学研究所 1号館 2階 セミナー室 |
講師: | 鈴木 志穂 |
所属: | 細菌感染生物学社会連携研究部門・特任研究員 |
演題: | 赤痢菌感染におけるinflammasome活性化 |
概要: | 赤痢菌、サルモネラ菌などの病原細菌の侵入に対し、宿主マクロファージはこれらの菌体を取り込んだ後、菌体由来分子を認識してインフラマソームを活性化させ、最終的にマクロファージ細胞死(pyroptosis)、及び炎症性サイトカインの産生・分泌とそれに伴う激しい炎症応答を引き起こす。近年、これらの現象は病原細菌のもつⅢ型分泌装置(細胞機能を様々に修飾する機能性タンパク質であるタイプⅢエフェクターを宿主細胞へ分泌する装置)依存的であることがわかってきた。しかしながら、鞭毛をもたない赤痢菌がどのようにしてインフラマソームに認識されるのか、その認識のターゲットとなる菌体由来分子についてはわかっていない部分が多かった。我々は赤痢菌感染モデルを用い、感染時に引き起こされるインフラマソーム活性化の機構について解析を進めた結果、Ⅲ型分泌装置の構造タンパク質であるであるMxiIがNlrc4による認識を受けている事を見出した。また、タイプⅢエフェクターのうちの1つであるIpaH7.8は、自身のE3 ligase 活性によりインフラマソームの活性をmodulateする機能を有しており、IpaH7.8が赤痢菌の病原性に対して与える影響を検証した結果、赤痢菌は自身の感染に有利になるようにインフラマソーム活性を制御している可能性が示唆された。本セミナーではこれら最新の研究成果について紹介する。 |
世話人: | ○清野 宏(炎症免疫学分野・教授)
伊庭 英夫(宿主寄生体学分野・教授) |