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空気伝播するH5インフルエンザウイルス

学友会セミナー

学友会セミナー:2014年12月03日

開催日時: 2014年12月03日 13:00-14:00
開催場所: 東京大学医科学研究所 1号館 2階 会議室
講師: 今井 正樹
所属: 岩手大学 農学部 共同獣医学科・准教授
演題: 空気伝播するH5インフルエンザウイルス
概要:

1997年に香港で高病原性H5N1鳥インフルエンザウイルスがニワトリからヒトに伝播した。2003年以降もヒトの感染事例が東南アジアや中近東を中心に毎年報告されている。このH5N1鳥インフルエンザウイルスは感染した鳥からヒトに直接伝播することはあっても、ヒトからヒトに効率よく伝播することはない。鳥由来のH5N1ウイルスがヒトの世界でパンデミックを起こすには、鳥からヒトに適応しヒトの間で容易に空気伝播できるウイルスに変化しなければならない。この伝播力を規定するウイルス因子の一つがインフルエンザウイルスの表面糖蛋白質・ヘマグルチニン(HA)である。
 我々は、パンデミックインフルエンザの出現メカニズムを解明することを目的として、哺乳動物モデルを用いて、H5インフルエンザウイルスの感染伝播実験を行った。その結果、僅かな変異がHA遺伝子に生じると、H5インフルエンザウイルスは哺乳動物間で空気伝播を起こすようになることがわかった。この知見は、哺乳類間におけるインフルエンザウイルス伝播機序の理解を進めるとともに、パンデミックインフルエンザの出現予測と早期検知体制の構築に役立つことが期待される。
 本セミナーでは、H5インフルエンザウイルスの感染伝播実験から得られた成果を紹介しながら、インフルエンザウイルスの空気伝播におけるHA 蛋白質の役割について議論する。

世話人: ○伊庭 英夫(宿主寄生体学分野・教授)
 河岡 義裕(ウイルス感染分野・教授)