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自閉スペクトラム症の克服を目指して

学友会セミナー

学友会セミナー:2014年11月07日

開催日時: 2014年11月07日 17:00-18:00
開催場所: 東京大学医科学研究所 総合研究棟 4階 会議室
(入棟の際は内線75272をお呼び出しください。)
講師: 内野 茂夫
所属: 帝京大学 理工学部 バイオサイエンス学科・教授
演題: 自閉スペクトラム症の克服を目指して
~神経—免疫連関からのアプローチ~
概要:

自閉スペクトラム症(ASD)は中枢神経系の機能不全を原因とする発達障害である。出生100人あたり1~2人と高い罹患率であるが根本的治療法はなく、現状はソーシャルプログラミングを中心とした療育ならびに薬物による対症療法が中心である。しかし、ASDの神経病態が十分解明されていない現状では、試行錯誤的な療育や対症療法の効果は個人差が大きい。近年の病因探索のための患者のゲノム解析や脳画像診断、また、疾患に類似した症状を呈する病態モデル動物等を用いた基礎・臨床研究から、ASDの主要な神経病態は「神経回路異常」であると考えられている。しかし、ASDの様々な症状(コミュニケーション障害、情動・社会性障害、運動機能や感覚・リズム障害、興味・行動の限局化など)はどの神経回路の異常に起因しているか未だ十分には解析されていない。本セミナーでは、この課題を解決すべく、最近我々が作出したASDの病態モデルマウスである「Shank3コンディショナルノックアウトマウス」について紹介する。さらに、脳内の免疫担当細胞であるミクログリアが神経回路形成におよぼす影響を考察し、ASDの新たな治療戦略として「神経—免疫連関」に関する話題を提供する。

世話人: ○清野 宏(炎症免疫学分野・教授)
 河岡 義裕(ウイルス感染分野・教授)