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miRNA発現制御因子による組織幹細胞の制御機構

学友会セミナー

学友会セミナー:2014年04月09日

開催日時: 2014年04月09日 16:00-17:00
開催場所: 東京大学医科学研究所 1号館 2階 会議室
講師: 大内 靖夫 博士
所属: 中部大学 実験動物教育研究センター・助教
演題: miRNA発現制御因子による組織幹細胞の制御機構
概要:

microRNA (miRNA)は22塩基長程度の短鎖RNAであり、進化的に保存された遺伝子発現抑制因子である。近年、癌をはじめとする多くの疾患において様々なmiRNAの発現異常が報告されており、miRNAの生合成機構の異常は、遺伝子発現制御ネットワークに対して広範な影響を及ぼし、様々な疾患の病態において中心的な役割を果たしていると考えられている。事実、統合失調症の発症において高い関連性がある染色体22q11.2領域には、miRNAの生合成に不可欠なDGCR8遺伝子が存在する。またヒトiPS細胞を誘導するうえで重要な初期化因子の1つであるLIN28は、癌抑制型miRNAの代表例であるLet-7の生合成抑制因子であり、大腸癌、乳癌などの癌において発現の亢進が認められる。
このことから、DGCR8、LIN28によるmiRNAの発現制御機構の破綻が、これらの疾患の病態において重要な役割を担っていると考えられるが、個体レベルでの機能については不明な点が多い。
我々は、この様なmiRNA発現制御因子に着目し、成体神経幹細胞、腸管上皮幹細胞の恒常性の維持機構の観点から研究を展開することで、統合失調症、腸癌の病態におけるDGCR8, LIN28の機能を個体レベルで明らかにしてきた。
本セミナーでは、これらの研究成果を中心に、最近の研究動向を紹介したい。

世話人: ○伊庭 英夫(宿主寄生体学分野・教授)
 植松 智(自然免疫制御分野・特任教授)