Cyclic di-nucleotide(cGAMP)によるULK1を介したSTINGの不活性化機構
学友会セミナー:2013年12月17日
開催日時: | 2013年12月17日 17:00-18:00 |
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開催場所: | 東京大学医科学研究所 1号館 講堂 |
講師: | 金野 弘靖 博士 |
所属: | University of Miami School of Medicine (マイアミ大学 医学部)
Postdoctoral Research Fellow |
演題: | Cyclic di-nucleotide(cGAMP)によるULK1を介したSTINGの不活性化機構 |
概要: | DNAは我々の遺伝情報を担う物質であるが、一方で強い炎症反応を誘導する物質でもあり、細胞内に取り込まれると転写因子IRF3とNF-kBを活性化してI型インターフェロンや炎症性サイトカイン産生を誘導する。この現象はDNAウィルスや細菌の感染時に有効である一方、DNAによる過剰な炎症反応は関節リウマチなどの自己免疫疾患を誘起する。従ってDNAによる炎症反応は厳密に制御されなければならない。我々は以前にSTING(Stimulator of interferon genes)がDNA依存的なI型インターフェロン産生に必須な分子であること、また自己DNAによる自己免疫疾患を亢進していることを報告した(Ishikawa, Nature, 2008, Ahn, PNAS, 2012)。しかし活性化したSTINGがいかなる機構で不活性化されるか不明であった。今回、我々はUnc-51 like kinase 1(ULK1)がSTINGのC末端に存在するSer366をリン酸化し、IRF3の活性化を抑制することを明らかにした(Konno, Cell, 2013)。近年、細胞内DNAセンサーであるcGAS(cyclic GMP-AMP synthase)が同定されている(Sun, Science, 2013)。cGASはDNA依存的にセカンドメッセンジャーであるcGAMP(cyclic GMP-AMP)を産生し、その後cGAMPはSTINGと結合してIRF3とNF-kBを活性化する。興味深いことに、ULK1はcGAMPによって活性することを明らかにした。従って、DNAはcGAMP産生を誘導しSTINGを活性するが、一方で過剰なSTINGの活性化もまたcGAMPによって抑制されることが明らかとなった。本セミナーではDNAシグナルにおけるSTINGの役割、及びULK1を介したSTINGの不活性化機構について紹介したい。
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世話人: | ○井上 純一郎(分子発癌分野・教授)
三宅 健介(感染遺伝学分野・教授) |