| 概要： |
ポスターPDFへのリンク
【プログラム】 （事前参加登録不要、入場無料、学内・学外希望者に公開開催です。変更があり得ますが、ご容赦下さい。）
第一セッション 「夏目漱石と門人の病跡学～藝術・文学とメンタルヘルス」
「はじめに～何故、いま夏目漱石と「こころ」なのか？」 山川 彰夫
「漱石と近代日本の不安」 内海 健
「夏目漱石の『こころ』―精神医学的考察」 高橋 正雄
「まとめ～夏目漱石の「こころ」出版から99年目に、産業医の目から、漱石とともだちのワーク･ライフ･バランスを振り返る」 山川 彰夫
質疑・討議 （司会 山川）
（途中休憩予定）
第二セッション「うつ状態とSuicide prevention～その傾向と対策」 16時開始予定
「挨拶」村上 善則 （東大医科研 人癌病因遺伝子分野教授 総務担当副所長） （予定）
“Activities of TELL: From Lifelines to Outreach programs such as School Awareness and Suicide Prevention.”（English presentation） Vickie Skorji （ヴィッキー・スコージ）
“Turning the tide against suicide in Japan.” Rene Duinigan (レネ・ダイグナン) （日本語プレゼン。Slides は、English and Japanese）
「うつ状態、自殺予防と認知行動療法」 大野 裕
まとめと質疑（司会 山川）
第三セッション「総合質疑・パネルディスカッション」（上記講師に加え、２名のパネリスト。）18時開始予定
近藤 伸介
厚生労働省社会・援護局 障害保健福祉部精神・障害保健課 担当者
概要：日本の疫学統計データ上、メンタルヘルス関連で休職をする働く人、ひきこもりや休学を余儀なくされる学生の数は、増加のトレンドが続いて居ます。精神疾患やメンタルヘルス失調については、「5人に一人は一生のうちにかかる病気」位良くある病気とも言われていますが、日本や東アジアでは文化的・歴史的因子もあって、一般人の精神疾患への理解が遅れ、精神科に受診する事にまだハードルが高い事が問題とされています。日本の自殺件数は、1998年から3万人台を超え続け、2006年の自殺対策基本法成立などの様々な対策が取られつつあり、2012年は27,766人で前年度から１０％程度の減少がありますが、まだまだ道半ばと言えます。WHOの統計では、日本の自殺率はUSAの2倍、フィリピンの12倍です。社会や行政のマクロレベルの対策だけでなく、大学・企業・病院などのミクロレベルや個人や家庭・友達・同僚などのパーソナルレベルでも、日本の現状の課題を更に分析し、解決策を図り、その知識を広げる努力が必要でしょう。
一方、近代日本の文学者・芸術家は、創作の悩みも深いためか、精神疾患に悩んだり、自殺企図や自殺で亡くなった人も多いとされています。西洋でもゲーテなどの芸術家に限らず、マックス・ウェーバーなど天才的研究者にも、現在の目から見て精神疾患を抱えていたとされる人は数多く存在します。1916年に胃潰瘍で亡くなった日本近代文学の第一人者の夏目漱石も、自身が「神経衰弱」に悩みながら、49歳の寿命で多くの作品を残し、現在まで影響を与え続けていますが、漱石や芥川龍之介など、彼らの生涯と作品の中にその悩みと苦闘を読み取ることが出来ます。友人や知人との支え合いが有ったことも明らかにされています。偶々来年2014年は、漱石晩年の傑作で、肉親との死別や自殺をテーマとした「こころ」が発表・出版されてから「100年目」に当たります。一般的に言って、文学作品や映画などの藝術作品は多様な解釈がありえますが、いわゆる「ウェルテル効果」は「悪い誤読」と言えるでしょう。今年が「こころから99年目」に当たるのに因んで、藝術を通じ、専門家の支援を得ながら、日本のメンタルヘルスを向上するためのイベントを開催し、日本近現代のメンタルヘルスや自身たちのLifeの「振り返り」と「今後の日本社会への提言」をフロアとも一緒に考えたい、というのが本企画の狙いです。この小さいステップをきっかけに、他部局や他大学などでも、その場にあった枠組みでイベントや振り返りが続いて、アウトカムとして、それが日本社会のメンタルヘルス向上につながっていけばと、企画サイドは願っています。そうして行く事が「神経衰弱者や悩める人に対する良き精神療法的治療者」でもあったとも考えられる（高橋教授説）夏目漱石にとっても本望なのではないでしょうか。
今回は漱石や門人たちの病跡学や精神病理学、双極性障害などの著作のある精神科医・研究者、「日本社会の自殺防止」を目的とした映画の自主制作をされたアイルランド出身の知日家、長年NPO団体で外国人のSuicide Preventionのサポートを続けているTELL代表、うつ病患者だけでなく他の精神疾患や健常人のメンタルヘルス向上の効果にまで注目が集まっている認知行動療法の専門家などの方々を講師にお呼びしています。最後に、これら講師陣の目に、若手精神科医の目、行政担当者の目も交えて、夏目漱石を偲びながら、秋のお彼岸休みの直前の夕方に、フロアからの質疑やパネルディスカッションを行う予定です。
学内・学外にかかわらず、ご興味・ご関心を持たれる多くのアカデミア・産業界・行政・メディア・一般の方のご参加と質疑へのご参加を歓迎致します。お知り合いにもどうぞご紹介下さい。
参加者向けの配付資料を企画側で準備中です。
（文責：世話人幹事 山川彰夫 a2yamaka@ims.u-tokyo.ac.jp ）
Short description of the seminar in English;
Title : “A Minisymposium for suicide prevention by power of art and literature with professional supports “ ( Medical Science Open Platform Seminar at Shirokanedai. On the 99th memorial year since the publication of “Kokoro” by Soseki Natsume )
Time：2013-September-20th 14:00-19:00
Venue：First Building Auditorium, IMSUT (Institute of Medical Science, University of Tokyo)
Shirokanedai, Minatoku, Tokyo, Japan)
Program;
The First Session (14:00-)
“Opening remarks, Why Kokoro of Soseki Now?”
Akio Yamakawa, Project Professor of IMSUT, Senior Academic Advisor
“Soseki Natsume, and Angst in Modern Japan”
Takeshi Utsumi, Professor of Tokyo Geijutsu Daigaku (Tokyo University of the Arts)
“Kokoro by Soseki Natsume ~ A study and discussion by a psychiatrist”
Masao Takahashi, Professor of University of Tsukuba
“Soseki and his friends, from viewpoint of an occupational physician in the year 2013 after 99 years since the publication of Kokoro”
Akio Yamakawa
The Second Session (16:00-)
“Activities of TELL: From Lifelines to Outreach programs such as School Awareness and Suicide Prevention.” English presentation
Vickie Skorji, TELL (Tokyo English Life Line) Lifeline Director
“Turning the tide against suicide in Japan.” Rene Duignan
“Depression, Suicide Prevention, and Cognitive Behavior Therapy”
Yutaka Ono, National Center of Neurology and Psychiatry, Head of National Center for Cognitive Behavior Therapy and Research. President of Japanese Association for Cognitive Therapy
Session of Q and A, Panel Discussion (18:00-)
All Speakers and two extra panelists；
An administrative officer of Japanese Ministry of Health, Labour and Welfare (MHLW) in charge of suicide prevention and mental health care
Shinsuke Kondo, Assistant Professor of The University of Tokyo Hospital, Division of Neuropsychiatry. Department of Neuropsychiatry, Graduate School of Medicine, University of Tokyo |
