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BCR共受容体と自己免疫

学友会セミナー

学友会セミナー:2013年04月12日

開催日時: 2013年04月12日 16:30-18:00
開催場所: 東京大学医科学研究所 1号館 2階 セミナー室
講師: 鍔田 武志
所属: 東京医科歯科大学 難治疾患研究所 免疫疾患分野 
医歯学総合研究科生命理工学系専攻 免疫学分野 教授
演題: BCR共受容体と自己免疫
概要:

Bリンパ球抗原受容体シグナル伝達は種々の抑制性共受容体によって制御されることが明らかとなっている。CD72は細胞外領域にC型レクチン様ドメインを有する抑制性 BCR共受容体の1つで、もっぱらB細胞に発現する。CD72には多型が存在するが、CD72多型はMRL/lprマウスでの自己免疫疾患の発症に関わる。Faslpr変異はMRL/lpr マウスでの自己免疫疾患の発症に重要であるが、C57BL/6やC3Hバックグラウンドでは自己免疫疾患をおこさない。MRLのCD72アリルであるCD72cは、他のアリルに比べてBCR抑制機能が弱く、C57BL/6. CD72c /lprコンジェニックマウスではSLE様の自己免疫疾患を発症する。この結果から、CD72cがMRL/lprマウスでの自己免疫疾患発症に関わるMRLバックグラウンド遺伝子であり、CD72が自己免疫疾患発症を制御することが示唆される。一方、CD22も細胞外領域にレクチンドメインを持つもっぱらB細胞で発現する抑制性BCR共受容体である。CD22はBCR架橋の際にもっとも強くリン酸化される分子の1つで、CD72に比べて強くCa2+シグナルなどBCRシグナル伝達を制御し、さらに、TLRリガンドへの応答を増強する。しかしながら、CD72欠損マウスがSLE様自己免疫疾患を自然発症するのに比べ、CD22欠損マウスは顕著な自己免疫疾患を発症しない。レクチンドメインが認識するリガンドの違いにより、このような機能的差異が生じると考えられる。

世話人:  清野 宏(炎症免疫学分野 教授)
○三宅 健介(感染遺伝学分野 教授)