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がん幹細胞の理解と制御に向けたインタラクトーム解析パイプラインの開発(Development of the interactome analysis pipeline for understanding and control of cancer stem cells)

学友会セミナー

学友会セミナー:2012年11月26日

開催日時: 2012年11月26日 13:00-14:00
開催場所: 東京大学医科学研究所 総合研究棟 8階 セミナー室
講師: 藤森 茂雄
所属: インタラクトーム医科学社会連携研究部門
演題: がん幹細胞の理解と制御に向けたインタラクトーム解析パイプラインの開発(Development of the interactome analysis pipeline for understanding and control of cancer stem cells)
概要:

がんをシステムとして理解するためには、多様ながん細胞について、その種類や特定の条件ごとのタンパク質間相互作用ネットワーク(インタラクトーム)の違いや変化を明らかにしていくことが重要である。本研究では、独自のインタラクトーム解析手法(in vitro virus 法; IVV法)を有する研究者を始め、がん研究者およびバイオインフォマティクス研究者と連携し、サンプル→データ産出→情報解析という解析パイプラインの構築を意識したインタラクトーム解析を行なっている。先頃我々は、IVV法と次世代シークエンサーを組み合わせて高精度で高効率なPIN解析法「IVV-HiTSeq法」を開発した(Fujimori et al., Scientific Reports 2012)。このIVV-HiTSeq法では、次世代シーケンサの効果によって、工程にクローニングを必要としないため従来法より高いスループットが実現できるばかりでなく、その定量性能によって信頼性も大幅に向上することが確認されている。更に我々は、IVV法がタンパク質間相互作用情報に加えてタンパク質の「相互作用ドメイン」情報を同時に解析できるインタラクトーム解析技術であるという特徴を利用し、スプライシングやSNPs(あるいはDNA変異)がタンパク質間相互作用に与える影響を解析するためのプラットフォーム「IRView」を開発し、公開している(Fujimori et al., Bioinformatics 2012)。現在は、これらの実験手法(IVV-HiTSeq法)と解析基盤(IRView)を活用し、薬剤耐性の異なる2種類のがん幹細胞について、インタラクトームおよび遺伝子発現の観点からその違いを明らかにするための解析を進めている。ここで構築された解析プロトコルは、次世代シーケンサから産出される大規模データ処理にスパコンを利用した「インタラクトーム解析パイプライン」の解析基盤として完成していく。

世話人:  中井 謙太(機能解析イン・シリコ分野 教授)
○宮野 悟 (DNA情報解析分野 教授)