システインSH基の翻訳後修飾とミトコンドリアDNAを標的とした免疫機能強化のための新戦略-今後の臨床における発展可能性と課題について
学友会セミナー:2012年11月07日
| 開催日時: | 2012年11月07日 18:00-19:30 |
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| 開催場所: | 医科学研究所 2号館 2階 大講義室 |
| 講師: | 金木 正夫 博士 |
| 所属: | ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院
麻酔・集中治療・疼痛医学教室 准教授 Department of Anesthesia, Critical Care and Pain Medicine, Massachusetts General Hospital, Harvard Medical School |
| 演題: | システインSH基の翻訳後修飾とミトコンドリアDNAを標的とした免疫機能強化のための新戦略-今後の臨床における発展可能性と課題について
Novel therapeutic strategies targeting cysteine thiol modifications and mitochondrial DNA to fortify immune function: Clinical potential and development |
| 概要: | 細胞内情報伝達と臓器間相互作用は複雑なネットワークを形成し負のフィードバック機構を通じて生体の恒常性維持に寄与している。一方、病的状態の進展には炎症反応の増幅機構が関与している。我々は炎症反応の増幅(正のフィードバック)機構におけるシステインSH基の翻訳後修飾(ニトロソ化、ファルネシル化)の役割を明らかにし、 トランスレーショナル研究を進めてきた。敗血症、熱傷がマウスやヒトにおいて (1)全身的な細胞内ミトコンドリアDNA(mtDNA)喪失、(2)非刺激下でのmTORC1経路の活性亢進とオートファジーの抑制、(3)インスリン刺激やCD3+CD28抗体によるTCR刺激に対する反応性の低下、(4)TLRsやinflammasomesを活性化するミトコンドリアDNAなど内因性damage-associated molecular patterns (DAMPs)の血中濃度上昇—を惹き起こすことが分かった。単核球におけるmtDNA喪失はNALP3 inflammasomeの活性化を抑制する。ニトロソ化はAktやSirtuinsを不活化しmtDNAの分解や細胞死に伴うDAMPsの放出を促進することを見いだした。さらに、コレステロールを介さないスタチンの効果に重要な役割を果たしているファルネシル化の阻害や、コエンザイムQ10(CoQ10)によるミトコンドリアの保護が敗血症の致死率を下げ、上記(1)-(4)の改善とともに免疫細胞のアポトーシス、Th1反応の低下、Tregsの増加、顆粒球移動の変化等を防ぎ、ワクチンに対するIgG応答を高めることを示す結果を得た。そして、筋萎縮や悪液質を惹起するactivin type IIB receptor に対する中和抗体により敗血症マウスの生存と免疫機能が改善された。これらの研究結果をもとに敗血症、熱傷における臨床試験を準備している。本セミナーでは、免疫機能強化の新戦略としての今後の展開と課題について議論したい。 |
| 世話人: | ○藤堂 具紀(先端がん治療分野・教授)
今井 浩三(附属病院病院長・特任教授) |
