多発性骨髄腫における橋渡し研究の試み
学友会セミナー
学友会セミナー:2012年10月01日
開催日時: | 2012年10月01日 17:30-18:30 |
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開催場所: | 東京大学医科学研究所 1号館 2階 セミナー室 |
講師: | 安井 寛 博士 |
所属: | 札幌医科大学 道民医療推進学講座 |
演題: | 多発性骨髄腫における橋渡し研究の試み |
概要: | 多発性骨髄腫は、種々の臓器障害を伴う機能性腫瘍であり、経過中に治療抵抗性となる形質細胞の悪性腫瘍である。近年、基礎研究と創薬開発の進歩により、骨髄腫細胞と骨髄微少環境とに作用する新規薬剤(プロテアソーム阻害剤ボルテゾミブ、免疫調整薬サリドマイド・レナリドミド)が臨床導入され、その生命予後が数十年ぶりに全年齢層で改善した。この成果により、多発性骨髄腫は橋渡し研究の一成功例とされるに至った。演者らは、これらの研究を主導した米国ダナファーバー癌研究所で多数の新規創薬の臨床前研究に携わった経験を踏まえ、多発性骨髄腫の基礎研究と臨床研究を国内において実践し、その橋渡しに取り組んできた。バイオマーカーの探索が重要と考え、実際に診療した症例や臨床研究を通じて検体を収集し、バイオマーカーとなりうるDNAメチル化異常を探索した。現在は、トランスポゾン領域を含めた全ゲノムレベルでのメチル化解析を進め、染色体異常や臨床病態との関連を研究している。本セミナーでは、1)骨髄腫における新規創薬の研究 2)臨床検体を用いた研究を中心に、演者らのこれまでの研究成果と経験を紹介する。多発性骨髄腫における橋渡し研究の現状と課題とを検証することにより、癌全般における橋渡し研究の発展に寄与しうることを期待したい。 |
世話人: | ○東條 有伸(分子療法分野 教授)
今井 浩三(癌制御分野 教授) |