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腸管上皮培養技術の進歩 - 腸管再生医療とひろがる応用技術 -

学友会セミナー

学友会セミナー:2012年10月24日

開催日時: 2012年10月24日 18:30-19:30
開催場所: 1号館2階会議室
講師: 中村哲也 准教授(Tetsuya Nakamura, M.D., Ph.D.)
所属: 東京医科歯科大学・消化管先端治療学(Department of Gastroenterology and Hepatology Tokyo Medical and Dental University)
演題: "腸管上皮培養技術の進歩 - 腸管再生医療とひろがる応用技術 -
Gastrointestinal stem cell culture technology: potential applications in regenerative medicine and gastrointestinal epithelial biology"GCOE特別セミナー(医科学教育セミナー)
概要:

特異的幹細胞マーカーの発見を契機とし、腸管上皮幹細胞研究が急速に進んでいる。また、体外培養技術の開発により、これら腸管上皮幹細胞を体外で維持し、増やし、操作することで可能となる応用技術に期待が寄せられている。
 われわれはこれまで大腸上皮に焦点をあてて研究をすすめた結果、マウスおよびヒト正常大腸上皮細胞の体外培養を可能とする新しい技術を開発した。この方法では、正常大腸上皮細胞が無血清培地で、3次元的に、長期にわたり培養できるのみならず、幹細胞を数的に増やすことが可能であった。次に、本法で得られる培養幹細胞が個体内においても幹細胞として機能し、組織再生に寄与しうるかを検討した。培養細胞を用いた移植実験の結果、体外培養を経たドナー細胞が傷害大腸上皮の修復に寄与し、移植後長期にわたり移植片内で幹細胞として機能することを見いだした。さらに、組織再生能を保持する上皮幹細胞培養とこれによる細胞移植は、単一の幹細胞を初発材料としても技術的に可能であることを明らかにした。
 本研究成果は、近年進歩しつつある腸管上皮培養技術が、組織幹細胞を用いる細胞移植治療の基盤技術として有用であることを示すものである。また本セミナーでは、腸管上皮培養技術を腸管上皮研究ツール・体外診断ツールとして利用する新しい試みについても紹介したい。

世話人: ○渡邉すみ子(分野名)再生基礎医科学寄付研究部門
田中廣壽 (分野名)附属病院アレルギー免疫科