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赤痢菌IpaHタンパクによる宿主シグナル伝達阻害機構の解明

学友会セミナー

学友会セミナー:2012年02月15日

開催日時: 2012年02月15日 14:00-15:00
開催場所: 総合研究棟4階会議室
講師: 芦田 浩
所属: 細菌感染分野
演題: 赤痢菌IpaHタンパクによる宿主シグナル伝達阻害機構の解明
概要:

我々の体は、病原細菌の侵入を感染早期に検知、様々なシグナル伝達経路の活性化を通じて素早く免疫系や細胞死を誘導することで感染を防いでいる。これに対し赤痢菌は、菌の有するIII型分泌装置より分泌される種々の病原因子(エフェクター)の働きにより、感染初期に活性化されるシグナル伝達系経路を攻撃し、そのシグナルを積極的に阻害することで、菌の感染を拡大している。
 赤痢菌のエフェクターの一つであるIpaHファミリータンパクは、赤痢菌の病原性プラスミドおよび染色体上に10コピーが存在し、相互に高い相同性を有している。IpaHファミリータンパクはそのC末端領域中にE3ユビキチンリガーゼ活性を有することが明らかとなっていたが、その基質となる宿主標的因子、および感染における機能の多くは解明されていない。最近の研究成果により、IpaHファミリータンパクは宿主シグナル伝達を阻害することにより赤痢菌の感染持続に寄与することが明らかにされた。本セミナーでは、これらの最新の知見を中心に紹介する。

世話人: 芦田 浩