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染色体分配におけるキネトコア-微小管結合の制御機構(How kinetochore-microtubule attachment is regulated for proper chromosome segregation)GCOE特別セミナー(医科学教育セミナー)

学友会セミナー

学友会セミナー:2010年04月27日

開催日時: 2010年04月27日 18:00-19:00
開催場所: 2号館2階 小講義室
講師: 田中耕三 (Kozo Tanaka)
所属: 東北大学 加齢医学研究所 (Institute of Development, Aging and Cancer, Tohoku University)
演題: "染色体分配におけるキネトコア-微小管結合の制御機構(How kinetochore-microtubule attachment is regulated for proper chromosome segregation)"GCOE特別セミナー(医科学教育セミナー)
概要:

細胞分裂における遺伝情報の伝達は、複製された染色体が微小管によって別々の中心体に引き寄せられるというメカニカルな過程によって行われる。この過程の大部分は、染色体上のキネトコアと微小管の結合の状態によって制御されている。キネトコアはまず微小管の側面で捕捉され、モーター分子により中心体へと輸送される。微小管の側面へのキネトコアの結合は、その後微小管の末端への結合へと変換される。複製された一対のキネトコアが、異なる中心体から伸長する微小管により捕捉される(双方向性結合)と、キネトコア間には張力が生じる。微小管の末端へのキネトコアの結合は、この張力に耐える強度を有するとともに、結合を保ったまま短縮することによりキネトコアを中心体へと輸送する。これらの機構は酵母からヒトまで種を超えてよく保存されている一方、ヒトではより繊細な制御機構が存在すると考えられる。またこれらの機構の異常は、染色体の効率的で正確な分配を妨げ、染色体不安定性をひきおこすことにより、がん化と関連することが予想される。本セミナーでは、酵母とヒト細胞でのキネトコア-微小管結合の制御についての知見を紹介し、染色体分配というダイナミックな過程の背後にある機構について考察する。

世話人: ○大杉美穂 癌細胞シグナル
村上善則 人癌病因遺伝子