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我が国におけるHIV感染症の現状---新規HIV感染者調査よりGCOE Program Seminar(Medical Science Seminar)

学友会セミナー

学友会セミナー:2010年04月22日

開催日時: 2010年04月22日 16:00-17:00
開催場所: 東京大学医科学研究所 附属病院8階会議室
講師: 杉浦 亙
所属: 国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター感染・免疫研究部
演題: "我が国におけるHIV感染症の現状---新規HIV感染者調査より"GCOE Program Seminar(Medical Science Seminar)
Trends in transmitted drug-resistant HIV-1 and demographic characteristics of newly diagnosed patients in Japan
概要:

多剤併用療法(highly active anti-retroviral therapy: HAART)がHIV/AIDSの標準的な治療法として1997年に導入されてからHIV感染症の予後は大きく改善された。今日までの約10年で抗HIV 薬剤は大きく進歩し、初期の薬剤で認識された様々な問題(容易な薬剤耐性ウイルスの誘導、短い血中薬剤半減期、重篤な副作用等)を解決した新薬が登場し、 HIV感染者が服薬に要する負担と努力は軽減されている。これに伴い薬剤耐性による治療の失敗症例は減少し、治療失敗症例から検出される薬剤耐性の頻度や 変異パターンは大きく変わりつつある。しかしながら、HAART以前の単剤もしくは2剤療法の時代に治療を開始した長期治療症例の中には多剤耐性を獲得し たために難治療に陥った症例がおり、深刻な問題となっている。また、抗HIV治療が積極的に進められてきた先進諸国では、薬剤耐性HIVによる新たな感染の発生が問題となっている。日本国内においても全国調査が行われ、新規HIV/AIDS診断症例の約4%に薬剤耐性変異が認められたと報告されており、薬剤耐性HIVによる新たな感染は少しずつ広がっているようである。本セミナーでは、我が国における薬剤耐性HIV研究の第一人者である杉浦亙先生をお招きして、主に新規HIV感染者における薬剤耐性変異の調査結果について概説していただく予定である。

世話人: ○藤井 毅   感染免疫内科
岩本愛吉   先端医療研究センター感染症分野