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赤痢菌IpaHタンパクによる宿主炎症応答抑制機構の解明

学友会セミナー

学友会セミナー:2009年11月10日

開催日時: 2009年11月10日 15:00-16 : 00
開催場所: 2号館2階小会議室
講師: 芦田 浩 博士
所属: 東京大学医科学研究所附属感染症国際研究センター
演題: 赤痢菌IpaHタンパクによる宿主炎症応答抑制機構の解明
概要:

細胞内へと侵入した赤痢菌は宿主の様々な生体防御機構に感知され、サイトカインの産生、好中球の浸潤といった激しい炎症を引き起こす。このような宿主による過度の炎症反応は菌の排除に向かうため、赤痢菌の感染持続を困難にするものであるが、赤痢菌はこのような宿主免疫による攻撃を看過するのではなく、赤痢菌の有するIII型分泌装置より分泌される種々の病原因子(エフェクター)の働きにより、それらを回避、抑制するといった生存戦略を備えている。
 赤痢菌のエフェクターの一つであるIpaHタンパクはE3ユビキチンリガーゼ活性を有することが明らかとなっていたが、その基質となる宿主標的因子、および感染における機能は解明されていなかった。最近の研究成果により、IpaHタンパクはIKK複合体の構成因子であるNEMO/IKKガンマと結合し、自身の有するE3ユビキチンリガーゼ活性によりNEMO/IKKガンマをユビキチン化、プロテアソーム分解へと導くことが示された。この結果、赤痢菌感染に伴うNF-カッパB活性化を阻害、炎症反応を抑制することで菌の感染持続に大きく寄与することが明らかとなった。本セミナーでは、これらの最新の知見を中心に紹介する。

世話人: ○三宅 健介、伊庭 英夫