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MT1-MMPによるマクロファージ、癌細胞のエネルギー産生制御機構

学友会セミナー

学友会セミナー:2009年04月22日

開催日時: 2009年04月22日 17:00-18:00
開催場所: 2号館 2F小講義室
講師: 坂本 毅治
所属: 東京大学医科学研究所 腫瘍細胞社会学分野
演題: MT1-MMPによるマクロファージ、癌細胞のエネルギー産生制御機構
概要:

膜型のメタロプロテアーゼであるMT1-MMPは、コラーゲンなどの細胞外基質や他の膜タンパクを切断することで細胞の浸潤を制御することが知られている。我々はMT1-MMP欠損マクロファージを用いた研究から、MT1-MMPがプロテアーゼ活性の必要な浸潤能だけでなく、プロテアーゼ活性を必要としない運動能にも関与していることを見出した。さらなる解析の結果、MT1-MMP欠損マクロファージは運動能だけでなく様々な細胞機能の低下を示すことがわかり、その原因が解糖系を介したエネルギー産生の異常にあることが明らかとなった。解糖系の制御には低酸素応答性転写因子HIF-1が大きな役割を果たすが、MT1-MMPは細胞内領域依存的にHIF-1を活性化することでマクロファージでの解糖系を介したエネルギー産生を制御していることが明らかとなった。さらに癌細胞においても、マクロファージと同様にMT1-MMP依存的な解糖系の制御が行われていることが明らかになった。本発表では我々が解明したMT1-MMPによるエネルギー産生制御のメカニズムの詳細と、マクロファージや癌細胞においてそのメカニズムがどのように利用されているかについて報告する。

世話人: 村上善則、山本雅