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GCOE Program Seminar(Medical Science Seminar)"糖鎖異常と筋ジストロフィー、およびパーキンソン病 -病態・治療戦略"

学友会セミナー

学友会セミナー:2009年04月10日

開催日時: 2009年04月10日 18:00 - 19;30
開催場所: 2号館2階大講義室
講師: 戸田達史 教授
所属: 神戸大学大学院医学研究科神経内科学/分子脳科学
演題: GCOE Program Seminar(Medical Science Seminar)"糖鎖異常と筋ジストロフィー、およびパーキンソン病 -病態・治療戦略"
概要:

筋ジストロフィーは、筋細胞の変性・壊死を主病変とし、進行性の筋力低下を認める遺伝性疾患で、約40種の原因遺伝子が知られている。その多くは、細胞膜構造タンパクや細胞外マトリックスをコードしているが、近年、基底膜と細胞骨格を結ぶ膜タンパク質のジストログリカンに糖鎖異常を認める筋ジストロフィーが相次いで報告されている。従って、ジストログリカン糖鎖が、筋細胞の維持に重要な役割を担っていること、更には、糖鎖修飾関連タンパク質と筋ジストロフィーとの関連性が明らかになってきた。私たちは、世界に先駆け、糖鎖異常を伴う筋ジストロフィーの原因遺伝子として、フクチン(福山型筋ジストロフィー)とPOMGnT1(筋・眼・脳病)を同定した。フクチンとPOMGnT1は、細胞内で複合体を形成し、フクチンの変異によって、POMGnT1の細胞内局在異常や糖転移酵素活性の低下が引き起こされる。ここでは、ジストログリカン糖鎖生成の分子機構と筋ジストロフィー発症機序、ならびに、最近創出した糖鎖異常モデル動物と、in vivo糖鎖増強に基づいた治療戦略について紹介したい。
一方、α-synucleinが初めての確実なパーキンソン病感受性遺伝子であることを報告し、また50万個のSNPアレイにより全ゲノム関連解析を行っている。ここでは単一遺伝病として筋ジストロフィー、多因子遺伝病としてパーキンソン病をとりあげ、その分子遺伝学、病態、治療戦略についても触れたい。

世話人: ○村上善則(人癌病因遺伝子)、山梨裕司