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GCOE特別セミナー (キャリアパス支援セミナー) "Biochemistry and My Life —GTP結合タンパク質の生理機能"

学友会セミナー

学友会セミナー:2009年03月03日

開催日時: 2009年03月03日 13:00 - 14:00
開催場所: 2号館2階会議室
講師: 上代 淑人 先生
所属: 京都大学医学研究科 生命科学系キャリアパス形成ユニット
および国際人材育成機構 特任教授
演題: GCOE特別セミナー (キャリアパス支援セミナー) "Biochemistry and My Life —GTP結合タンパク質の生理機能"
概要:

GTP結合タンパク質はGTP/GDPと結合しGTP水解活性をもつ、一群のタンパク質スーパーファミリーの総称である。タンパク質の生合成反応においては、その開始、伸長、および終結の各過程に特異的に関与するGTP結合タンパク質が存在している。また、細胞内シグナル伝達系においては、ホルモン、神経伝達物質、および感覚刺激などに対するレセプター(7回膜貫通型レセプター)と共役し、シグナルの転換体(トランスデューサー)として機能している多数の三量体GTP結合タンパク質(Gタンパク質)が存在している。一方、Rasタンパク質で代表される低分子量単量体GTP結合タンパク質(Rasスーパーファミリー)には、50種類以上の分子種の存在が知らせているが、それらは細胞の増殖と分化、運動と形態の維持、およびタンパク質の細胞内輸送などの多彩な生理機能を担っている。
 われわれは、まず最初にタンパク質生合成反応の分子機構、特にタンパク質生合成反応におけるGTPの役割に焦点をあてて研究を行った。その結果、伸長因子EF-Tu, EF-Gのコンフォメーション(および反応性)がGTP/GDPの結合にともなって質的、かつ可逆的に転換される事実が明らかになった。われわれは、これに基づいてヌクレチド結合タンパク質の他の生体高分子に対する反応性が、リガンドのリン酸エネルギー準位(phosphate potential)によって質的、かつ可逆的に転換されるとういモデルを提唱した。このモデルはその当時は極めてユニークなものであったが、現在では広く、一般的に容認され、様々なGTPおよびATP利用系において広く、普遍的に共通のものとして認識されている。すなわちGTP結合タンパク質はGTPの結合にともなって活性型となり、特異的にターゲット分子と結合してこれらを活性化する。そのあとで、結合GTPの分解がおこり、タンパク質はもとのGDPと結合した不活性型に復帰する。活性化は、結合GDPの外部のGTPとの交換によって行われ、不活性化は結合GTPの水解によって行われる。それぞれの反応を触媒するタンパク質因子として、特異的なグァニンヌクレオチド交換因子(gnanine nucleotide exchange factor, GEF)およびGTPase活性化因子(guanine nucleotide activating protein, GAP)の存在が知られている。細胞内には、数多くのGTP(ATP)結合タンパク質が存在していて、それらは生体高分子生合成における分子認識に関与し、細胞内シグナル伝達系の分子スイッチとして機能している。また、生体運動、タンパク質フォールディング、細胞の運動と形態変化、細胞内のタンパク質輸送、核・細胞質間輸送等におけるエネルギー転換系で働いている。これらのすべての反応において用いられている反応機構は、もともとタンパク質生合成系でわれわれにより提唱された反応機構と本質的に類似のものである。

世話人: 北村俊雄(細胞療法分野)、村上善則