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B型肝炎ウイルスX蛋白と肝発癌

学友会セミナー

学友会セミナー:2008年12月02日

開催日時: 2008年12月02日 18:00~19:00
開催場所: 1号館2階会議室
講師: 室山 良介 博士
所属: 東京大学大学院医学系研究科消化器内科
演題: B型肝炎ウイルスX蛋白と肝発癌
概要:

B型肝炎ウイルス(HBV)は慢性肝炎・肝硬変・肝細胞癌の主要な病原因子の1つであり、人類にとって大変な驚異となっているウイルスである。
HBVゲノムの変異は臨床上、核酸アナログに対する耐性獲得という点で問題になっているが、変異と発癌との関連性も報告されている。またHBVは感染経過中にヒトゲノムへのHBV-DNAの組込みを起こすことが知られており、肝細胞癌の80-90%に認められることから、HBV-DNA組込みと発癌との関連性も以前より示唆されている。
一方、HBVが産生するウイルス蛋白から考えると、HBV X遺伝子より転写・翻訳されるX蛋白(HBx)と発癌との関連性が示唆されている。現在までに、HBxを発現するトランスジェニックマウスで発癌が認められることや、HBxが様々な転写因子を活性化することなどが報告されている。
そこで我々は、HBxの変異と肝発癌との関連性につき検討し、HBxのコドン38番目の変異が肝発癌のリスクファクターであることを報告してきた。また現在、HBV-DNA組込み由来の「HBx+ヒトのfusion蛋白(fusion HBx)」が肝発癌に寄与しているのではないかという仮説の元に研究を進め、fusion HBxは肝発癌および進展に重要な役割を果たしていること、通常のHBxとは異なった発癌メカニズムを有することを明らかにしつつある。fusion HBxが有する発癌メカニズムを解明することにより、それをターゲットとしたB型肝癌固有の新たな治療法を開発できるものと考えている。本セミナーではこれらの研究成果を紹介する。

世話人: ○古川洋一 、東條有伸