Research Project

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国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)・感染症研究開発ELSIプログラム
「COVID-19重症呼吸不全におけるECMO再配分に対する市民・社会の理解に関する実態調査」(研究代表者:東京医科歯科大学生命倫理研究センター・吉田 雅幸、研究分担者:東京大学・神里彩子)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症患者の治療で用いられる人工呼吸器や「体外式膜型人工肺(ECMO)」の使用、およびトリアージについて一般市民の認知度・理解度を把握するため、インターネット調査会社を通じて意識調査を実施しました(全国の20歳~89歳の男女、合計2,239名を対象に2020年12月17日~21日)。 その結果、重症化した場合に、人工呼吸器やECMOが使用される可能性があることは知っているものの、装着はどのように行われ、装着した患者はどのような状態になるかについての認知は低いことが明らかになりました。 また、治療や介護の方針を事前に決めておく「ACP(Advance Care Planning:もしものときのために自分が望む医療やケアについて、健常時に繰り返し話し合い、家族や医療者と共有するプロセス)」の実施がCOVID-19感染症に関しても専門家から推奨されていますが、その認知度は低く、事前にどのような医療を受けたいかについて意思表示する人が、このままでは増加していかないことが予想されました。加えて、COVID-19感染症治療において「トリアージ」が行われる可能性があることについて想像したこともない一般市民が多いこともわかりました。

重症患者の治療で用いられる人工呼吸器使用の認知度・理解度

この調査結果は、2021年末に医療がひっ迫していた当時、プレスリリース(000004302.pdf (u-tokyo.ac.jp))とともに、新聞やテレビ、ラジオ、インターネットTVで紹介されました。このような情報発信を通して、コロナ禍で人工呼吸器や ECMO を装着された後に、患者に起こり得ることを知っておくこと、また、「事前の意思表示」や家族との話し合うことの重要性について普及啓発に努めました。

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東京大学 医科学研究所 生命倫理研究分野