Research Project

弘前大学COI

国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)センターオブイノベーション(COI)プログラム「真の社会イノベーションを実現する革新的「健やか力」創造拠点」(研究代表者:弘前大学 中路重之、平成27年度~)

日本は超高齢化社会を迎え,加齢性疾患・生活習慣病の患者の増加、および、それに伴う医療費の膨張が社会的問題となっています。なかでも青森県は高齢化に加40歳以上の加齢性疾患・生活習慣病の罹患率・死亡率が高く、全国で最も平均寿命が短い県になってしまっています。そこで、弘前大学では"短命県返上"を合言葉に、 2005年度に「岩木健康増進プロジェクト」を立ち上げ、弘前市(岩木地区)の住民の健康増進に取り組んできました。COIプログラム「真の社会イノベーションを実現する革新的『健やか力』創造拠点」(以下、弘前COIプログラム)は、このような経験をもつ弘前大学が中心となり、産学官の力を結集して、青森県はもちろん全国、そして世界の人々の健康寿命の延伸、認知症や生活習慣病の減少を目指すものです。

弘前COIプログラムの多様な取り組みの一つに、弘前市岩木地区の住民を対象に毎年実施している大規模住民健康調査「岩木健康増進プロジェクト健診」(以下、岩木健診)の実施があります。この健診では、弘前大学のほか、企業や研究機関などが協同して、一人につき2,000~3000項目の健康・医療データを収集しています。その目的は、このようなビッグデータを多角的に解析することで、認知症や生活習慣病の予防法及び治療法を早く見つけ出すことにあります。
岩木健診に参画する企業や研究機関は年々増え、複雑化してきています。当研究室は岩木健診の倫理支援を担当しており、政府の倫理指針に則って適正に健診が遂行できるよう、研究者をサポートしています。また、岩木地域の住民の方が岩木健診についてしっかりと理解した上で協力するか否かを判断していただけるよう、説明同意文書の作成支援や、補助資料としての動画制作も行っています。

説明文書の表紙

説明文書の表紙

健診が始まる前に住民の方に見ていただいている動画より

健診が始まる前に住民の方に見ていただいている動画より

また、弘前COIプログラムでは、九州大学、京都府立医科大学、名桜大学、和歌山県立医科大学がそれぞれの地域で行っているコホート研究で得られた健康・医療データと岩木健診のデータを連携させ、多くの研究機関や企業が使えるようにする取り組みも行っています。これにより、個々のコホート研究ではできないような解析や、より精度の高い解析が可能になり、認知症・生活習慣病の予兆発見や予防法開発を加速させることが期待されます。 もっとも、このデータ連携にあたっては、それぞれのコホート研究実施機関の倫理審査委員会の承認及び機関の長の許可を得ること、そして、コホート研究に参加されている住民の方に同意をいただく必要があります。そこで、当研究室では、各コホートに参加している住民の方にデータ連携についてご理解いただき、協力するか否かご判断いただけるよう、説明文書の作成支援や補助資料としてのパンフレット制作も行っています。

調査研究

パンフレット

page_top

東京大学 医科学研究所 生命倫理研究分野